守りたいモノ�� ページ17
「ぐ……っ、何が、」
起こった、と石川が云う前に、
彼の目の前には赤黒い丸いモノが迫っていた。
危険だと瞬時に悟り、
石川は素早く避ける。
「……なん、だと…」
石川は先刻まで自分が居た場所を見る。
其処は綺麗に
再び異常な殺気を感じ、
石川は前方を振り返る。
「！？」
振り返った時にはもう、
赤黒い丸いモノが目の前に在った。
ﾄﾞｶﾞｧﾝ_______
パラパラ…と木片が落ちる。
「ｹﾞﾎｯ…」
口から血を吐く石川。
ゆっくり、前方を見上げた。
「っ！」
そこに立っていたのは、
全身に赤い痣を纏った中原だった。
中原の目は正気では無く、
不気味な笑みを浮かべている。
「…“ 汚濁 ” ですか」
石川は爆風に包まれる前に
中原が呟いた言葉をしっかり聞いていた。
“ 汝 陰鬱なる汚濁の許容よ 更めてわれを目覚ますことなかれ ”
「…これが、中原中也の本当の姿」
石川は垂れてきた血を拭く。
息は乱れ、動悸は治まらない。
中原は笑みを浮かべたまま、
手を頭上に持ち上げ、再び
その瞬間、
「ｶﾞﾊｯ…」
中原が血を吐き出す。
「成程、汚濁は自分に負荷がかかる能力…
……ふふふ、面白い」
中原は腕を振り下ろす。
それと同時に
石川は異能を発動させ、
素早く避ける。
「ならば、自滅するまで待てばいい話…！」
石川はそう云って
中原から距離を取るように走り出した。
「________それは感心しないなぁ」
「なっ！？」
前方から聞こえてくる声に目を向けると、
そこには、一人の男が立ち塞がっていた。
石川は足を止める。
「…貴方は、確か元ポートマフィアの…」
「太宰治さ…」
そう云って、太宰は石川に触れる。
その瞬間石川はその場に崩れ落ちた。
「！」
「…異能で自分の身体を操る事により、
動かない身体を無理矢理動かしていたなんて
君も中々やるねぇ」
「くっ…、異能力無効化ですか…！」
冷めた目で見下ろす太宰を、
下から睨みつける石川。
「“ 汚濁 ”の弱点を見つけた事は褒めよう。
…だが、知られた上で逃がすとでも？」
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
