愛しさとは�� ページ7
空は、
いつの間にか紅に染まっていた。
ｶｧｰｶｧｰ、と烏が一斉に鳴き出す。
「……気に食わないですね」
石川はそう云って、
Aの腕を掴む。
そして無理やり部屋から連れ出した。
『何処っ、行く気…』
「矢張り、もっと早く迎えに行くべきでした」
ズカズカと進む石川の表情は見えない。
「……」
そして、無言のまま、
或る部屋の前に立ち止まる。
ｶﾞﾗｯ
勢いよく襖を開けて、
石川はAをその部屋に押し込んだ。
『きゃ…っ』
その反動でバランスを崩し、
Aは部屋に敷いてあった布団に倒れ込んだ。
そして、一気に
『何するの』
Aは直ぐに身体を起こし、
石川をキッと睨みつける。
石川はそんなAを冷めた目で見下ろしながら
ゆっくりと襖を閉めた。
「……貴女の主人は誰です？」
『私には、主人なんていない』
ブチッ
石川の何かが切れた。
「……ふふ、」
気味悪い笑みを浮かべる、石川。
「悪い子には、お仕置きをしなきゃですね」
やばい。
Aは直感的にそう思った。
直ぐに部屋から出ようとする。
________が。
ﾄﾞｻﾘ
『っ！』
「逃げないんじゃなかったんですか？」
目の前には、クスクスと笑う石川。
Aは、石川に押し倒されていた。
ガッチリと、彼女の手首は
石川の手で拘束されている。
『…っ、何を』
「云ったでしょう？
お仕置きだ、って」
そう云う彼の目は、光が無い。
「…誰かに毒されましたね。
________あの帽子を被った男ですか？」
『！！』
Aは目を見開く。
「…その様子だと、当たりですね」
石川はそのまま彼女の手首を掴む力を強くする。
『痛っ…』
「嗚呼、あの男には殺しても殺したりない位の罪を犯してくれた…！！」
ミシミシと彼女の手首の骨が嘆く。
『あの…人、には…手を出さないで』
「なに？」
『私は如何なってもいいから！
ギリッと石川は奥歯を噛む。
「_______そんなにあの男が愛しいですか？」
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
