氷と雷が描くイナイレ界part3 (ページ11)

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知らないならページ11

NO side

聖良『あの…ありがとうございました。…それから、すみません。
僕…助けてもらってばっかりです…今日だって…感謝の意味を込めて、海に誘ったのに…サプライズは上手くいかないし…結局助けてもらっちゃってるし…』

ポタポタと聖良の足元に流れる涙は地面を赤く濡らしてく。

聖良の涙は特殊なのだ。

赤い血の涙が流れる仕組み。

聖良はうつむく。濡れた髪が顔を隠した。

聖良『僕…何やってもダメだなぁ………』

聖羅「充分」

聖良「え……？」

聖羅「海に来た。あたしはそれだけでいい。静養になるから。こっちからすれば自然に来たってことだけでも充分だわ」

聖良「……！」

聖羅「……つーか」

振り返り、顎を捉えられて聖良は顔を上向かせられる。

聖羅「アンタがやってんのは単に慣れないことやってるだけだろ。計画するなら、単独じゃなくて誰かと複数やる方が効率がいーから。
サプライズは、協力プレイ」

聖良「(アドバイスを貰ってしまった……)」

聖羅「それに、成人組も海を満喫してる。大人を子供が楽しませるのは、セーテキなこと以外では難しいからな」

聖良「…………」

後半の言ってる事はよくわからないけど……もしかして僕、慰められた……？

＊

背を押されて探索を再開すると、小屋はすぐに見つかった。

聖羅「ん」

置いてあった防犯グッズを持ってきた空さんから、バスタオルを投げて寄越される。

聖良「あっ。ありがとう、ございます……」

慌ててキャッチしたタオルで海水を拭いていると、ぐうっと聖良のお腹が鳴った。

聖良「(そういえば、お昼ご飯まだだったなぁ……)」

聖羅「…………。なんか食料、調達するか。アンタ、食えねーヤツとか、これ食ったらダメなのとかある」

聖良「えっ？えっと……辛いのは、苦手です」

「そう」とだけ返事されて、出入り口のドアが開かれる。

聖羅「行くぞ。これも経験、だ。……知らないなら、知ればいい」

聖良「……！」

やっぱり、この人はすごい。

一瞬の迷いも、躊躇いも無くて……本当に、かっこいい。

だから皐月さん達はこの人について行くのだろう。

しばらく孤島の植物を探索して、高い位置にある赤い実を見つける。

聖良「……あ。あれは、どうですか？」

聖羅「…………」

指差された上を見る聖羅は返事をする前に、颯爽と枝から枝へと飛び移って上っていく。

実をひとつ採取すると、聖羅はそれを迷いなく口に入れた。

豪胆というか何というか……。