嘘ははじまり【SZ】

プロローグ ページ1

健人side




2年前


俺がまだ中2だった頃




俺のクラスにはいじめがあった






"ほんと、暗いよねー"


"なーにやってんの？"


"ムカつくんだよね"




何がきっかけだったかもわからない






俺は⋯気にもしてなかった





なのに、






しばらくたったある雨の日



傘もささずに校舎の外でしゃがみこんで震えてる背中を見て




傘を差し出した




『風邪ひくよ？』


それから、こう続けた


『俺さー、親が彼女はいないのかってうるさいんだよー



だから





俺と付き合ってくんね？』




涙でぐしょぐしょの顔をこっちに向けて、びっくりしてるあいつに向かって




『決定ね？』



そう言った





それから先、俺はあいつを強引に連れ回した

共に行動させた




『学食で食べるけど、もちろん来るよね？』


『なぁー、今日の放課後デートしよ？』


『お前に拒否権ねーから』




ボロボロになったあいつは最初こそ心を開かなかったけど⋯




徐々に俺には笑顔を見せるようになって



今は、ほら。




「このケーキ、おいしいよっ！」



放課後デート中


満面の笑みでケーキを頬張ってる





⋯その笑顔、俺だけのもんだから




親がうるさいなんて言ったけど

そんなの、嘘



そういうしか、救い出せなかった



たまたま、町で子犬をなでてるあいつを見たことがあった


そのときの笑顔



学校での姿が嘘みたいに、キラキラしてた





そのときから、ずっと惚れてたんだ





「ねぇっ、健人くん！


はい！食べてみて？」



『ん？はいはい笑』





ずっと、一緒だよ？

俺が守るから



真野山Aちゃん。




⋅

登場人物→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す