1.捨てられる ページ3
「まったくあんたは!いつになったらできるの!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
僕は謝ることしかできなかった。子供を思う存分殴った母さんは息をきらして、どこかへ行ってしまった。
「ぐすっ・・・痛い・・痛いよぉ・・。」
僕の毎日は、これの繰り返しだった。
鏡の前に立って自分の姿を見る。目の周りにできた青い痣、口の端から出てくる血が、自分の弱さを演出してるようでもの凄くやるせなくなった。
今日も自分で晩ご飯を作って食べるだけになった。母さんの料理なんて1年間もたべてない。3年前は痩せてて綺麗だった、お父さんと離婚してからお母さんはブクブク太っていった。
本当はお父さんのとこにいきたかった。けど、母さんのほうが稼ぎがあるから母さんのもとについていった。今はもう仕事やめてるけど。
お風呂に入って体についた汚れを落とす。傷口に水がしみる。
お風呂からあがってお父さんの忘れていった大きいTシャツと自分のパンツを穿いて布団に入る。
抱き枕にお休みを言って。
朝、目が覚めると目の前に母さんがいた。
「序鳴、今日からエジプトに行こうか。」
母さんがいきなり言い出した。
「きゅ、急に?準備は・・。」
「大丈夫よ、序鳴が寝てる時にやったから。チケットもパスポートもあるの。さ、早く準備して。」
「う、うん。」
こんなことを言い出すなんて初めてだった。念のためにパスポートは前に作っていたんだっけ。
「準備できた?さ、いくわよ。」
エジプトはやっぱり遠いし、時差もある。エジプトについた頃にはもう夕方になった。
母さんと二人で歩いていると、お母さんが口を開いた。
「序鳴、お母さんちょっとホテル探してくるわ。迷ったみたい。ここで待っててくれる?」
「え?う、うん。早く帰ってきてね。」
不安がよぎった。母さんがこんなに優しいわけがなかった。
「じゃあね。」
やっぱり、不安が当たった。母さんが来ない。二時間も。
捨てられたんだって思った。
持ち物は少ししかない。パスポート、水、ビスケット、これだけ。
今日を過ごすには問題ないけど、夜のエジプトは寒かった。
街を外れて、一人でトボトボ歩いていく。十分くらい歩くと、大きな屋敷が目に入った。風をふさいでくれそうだから、ちょっとここで休ませてもらおう。
瞼が重たくなってきた。
「おい、そこでなにをしている。」
「はいっ!?」
横から声をかけられて横を見ると、背の高い綺麗な男の人が立っていた。
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ニッポー@さわこさんは私の嫁(プロフ) - びすけっとさん» コメントありがとうございます!私はディオジョナが好きでね・・・! (2014年5月4日 12時) (レス) id: 5543b802a3 (このIDを非表示/違反報告)
びすけっと(プロフ) - お疲れさまでした!!!すごくおもしろかったです^ω^ (2014年5月4日 10時) (レス) id: 09a08d0004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニッポー | 作者ホームページ:http://mb./-crb/158.html#S172
作成日時:2013年11月24日 19時