一人の兵士と敵兵の話−1 ページ27
*グルッペン side*
俺と大先生が、新参兵の頃同じ部隊に属していたのは知ってるな？
その少し後(ｱﾄ)……俺と大先生が、それぞれ別の部隊に移されてからの話だ。
戦場で、俺はこいつと対峙した。
そういえばまだ言っていなかったか……。
ゾムは元々、我々にとっての敵軍側の兵士だった。
当然俺たちも、出会った当初は敵同士。
自軍のため、そして己の生を護るため、本気で殺し合ったな。
その頃からゾムは強者であったが、俺も伊達に軍曹直々に鍛錬してきたわけではない。
僅差だったが、勝敗は決した。
ギリギリのところでゾムをうつ伏せに押さえつけ、俺はゾムの頭に銃口を突きつけた。
だが、引き金を引こうとした瞬間、敵軍に撤退命令が下されたのか一斉に退避が始まったのだ。
ヤツら、逃げるのは天下一品でな。俺たちなど気にも留めず走り去っていくものだから、面白くなくてある交渉を持ちかけたんだ。
「止まれ。貴様らにとってこいつは有益な戦力のはずだ。返してほしければ、今この場から逃げる事は許さん」
だが、上の立場らしき男は、嘲(ｱｻﾞｹ)るように笑ってこう言い放った。
「残念だが───ソレはただの捨て駒だ。煮るなり焼くなり好きにしろ」
その言葉だけ残し、男は敵軍もろとも逃げ去っていった。
静かになった戦場で、ふと下に居るゾムが震えている事に気付いて視線を向けた。
その時ゾムは、様々な感情を必死に押し殺したような声で、俺に向かってこう呟いた。
「頼む……。俺を…殺してくれっ……」
その時の様子は、今でも忘れられない。
ゾムは心からヤツらを信用していた。
裏切りを受けたその様に俺も思うところがあり、同情に近い感情からこんな約束をした。
「……どんな状況だろうと、必ずお前を救い出す。だから……
お前は絶対に生きろ」
そのままゾムを生かしておけば、捕虜として扱われる事はわかっていた。
その有り様をわかっていた上で、俺は約束したんだ。
「……ホンマか…？ お前も…どうせ裏切るんやないか……？」
「俺は、嘘はつくが約束は守る男、グルッペン・フューラーだ。覚えておけ」
不敵に笑って見せると、ゾムは涙を流しながらも小さく微笑んでいた。
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空文 加菜(プロフ) - もちもちさん» ありがとうございます！ いろいろ盛り込みすぎて自分でもたまに何が書きたいかわからなくなるんですがね…(笑) これからもちまちま更新していきますので、気長に気楽にお付き合いくださいm(_ _)m (2018年9月30日 21時) (
レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
もちもち - 空文 加菜さんの作品とても大好きです…！(急な初コメ失礼します) 世界観がなんかすごいって感じで心引き込まれます… 更新頑張ってください！ (2018年9月30日 20時) (レス) id: 1ca193c490 (このIDを非表示/違反報告)
空文 加菜(プロフ) - 紺狐(ユウ)さん» ありがとうございます！ 率直な感想嬉しいです…(泣) この先もお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m (2018年9月28日 18時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
紺狐(ユウ) - 初コメ失礼しまっす! トン氏...良いッスね.. 空文 加菜さんの毎回心に響き泣いてしまいます! ゆっくりでも良いので頑張ってください! (2018年9月28日 17時) (レス) id: 6446cf17af (このIDを非表示/違反報告)
空文 加菜(プロフ) - ERAさん» ありがとうございます！ のんびりやっていきますので、気長にお付き合いお願いしますm(_ _)m (2018年9月2日 21時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
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