♯2 ページ7
久し振りに来た教会は懐かしい匂いがする。
森に囲まれたここだからこその匂いというか。
「―――！――――――！！」
？「―――ね…――――――ったり―――から…」
扉に近づくとキヨ君の声以外に、もう一人の声が聞こえてくる。
聞き間違ったりしない。
その声を聞いて、思わず目尻が熱くなった。
なんで…なんで居るんですか…
Aさん…。
思わずその場から走り出してしまった。
こんな顔、誰にも見せられない。
ましてや、Aさんにはもっと。
落ち着いたら、また行こう。
今はまだ会える気がしない。
走って走って、走った先にあったのは、開けた場所。
上は葉に覆われ、葉と葉の隙間から陽の光が差し込んでくる。
一言で言えば、幻想的。
ショ「…こんな所、あったんや…」
ポツリと溢れた口調は、先輩方と同じ訛りが混じっている。
まぁもともとがコネシマさんの友達兼後輩だったから可笑しくないはず。
この世界に来て自然と封印してしまったが。
ショ「…今度、キヨ君やレト君達に教えるかな。」
もう既に知っているかも知れないが。
ポツンと置かれているベンチを見つけ、そこに腰掛ける。
疲れた俺の心を癒すには十分だった。
涙は、まだ流れている。
なんで、Aさんは姿を消したのだろうか。
なんでまだ、城に戻ってきてくれないのだろうか。
なんで…。
ショ「ｯ…あーあ…情けな…」
自分の情けなさにも泣けてくる。
こんなに弱い人間じゃなかったはず。
友達だった筈の人に忘れられても、
誰にも、必要とされなくても。
…考えないように、してたんすけどね。
小さい頃、俺は親に捨てられて、孤児院に居た。
けどその孤児院は正式な孤児院では無く、違法に作られた孤児院。
もちろん子供の俺にそんな事が分かるわけもなく、そこにすがるしかなかった。
その孤児院は俺を、いや、俺達子供を奴 隷のように扱った。
なにもかもを俺達にやらせ、ちゃんと出来なかったら殴られる。
そんな日々。
生きていくには仕方なかった。
時々食事を与えてもらえなかった歳上の子に殺されそうになったこともある。
平々凡々な世界の裏側、やっぱりそういう世界はある。
殺伐とした境遇で育った俺は誰にも必要とされず、俺の性格はこうやってひねくれた。
…一つ訂正するならば、コネシマさんだけは、必要としてくれたのかもしれない、という事。
人間不信の俺には分からない。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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