♯6 ページ42
今日もまた、医務室でカッターを取り出した。
カチカチカチと聞き慣れた音が部屋に響く。
静かだからこそ、余計。
手首に当てた時の金属特有の冷たさも、もう慣れた。
スライドした時の、鋭い痛みも。
ポタ…ポタ…と床に赤い模様を作る。
また、やっちゃったなぁ…。
何でか、止められない。
ふと暖かい風が頬を撫でた。
あれ、俺窓開けてたっけ。
そう思って窓を見ればそこには、全く予想出来なかった光景が、広がっている。
なんで、ここに居るの？
―――Aちゃん。
貴「…ごめんね。遅くなって」
神「…なんで…」
貴「…神に伝えたい事があったんだ」
神「…伝え、たいこと…？」
今の俺にはなんの検討もつかない。
つくとしたら、暗い考えだけ。
貴「…私は、神の事、
愛してるよ」
…何かが、満たされる気がした。
そう、だ…僕は、俺は、愛されたかった…。
ただ、それだけだった。
愛されて、一人になりたくなかった。
窓枠から降りてきたAちゃんは僕の前まで歩いてくると、手首を掴んだ。
傷に触れないように。
貴「…今まで、頑張ったね。これからは、神を一人にしないから。ずっと、傍に居る」
神「…ほんとう…？」
貴「うん、本当」
優しく抱き締めて、優しい言葉を掛けてくれるから、今までの自分が何をしていたのかと思ってしまう。
こんな近くに、愛してくれる人が居たじゃないか。
ずっと傍に居てくれると、誓ってくれる人が、居るじゃないか。
なんで、今まで気づけなかったんやろ。
神「ごめんなっ…こんなになって…ごめん…」
貴「どんなでも神は神だから大丈夫だよ」
神「…気付かせてくれて、ありがと…」
彼等だって、きっと俺を、仲間として見てくれている。
だから、俺は一人じゃない。
神「俺もAちゃんの事、愛してる」
ずっと、ずっと待ってたんや。
気持ちくらい伝えたって、罰は当たらんやろ？
貴「…うれ、しい…」
でも、泣きながら喜んでくれる姿見たら誰やって、自惚れる。
神「…キス、してもええ？」
その問いに答えは返ってこなかった。
代わりに、目を瞑ってくれる。
頬に手を添えて、少しだけ上を向かせた。
ゆっくり、自分の唇を当てる。
顔を離してお互いに見つめる。
神「…俺、今すっごい幸せ。Aちゃんの、お陰やな」
貴「私も、幸せ。神のお陰だよ」
Aちゃんは、俺にとっての救世主やな。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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