♯3 ページ39
母「ねぇ、しんぺい神？」
神「なに、母さん」
何も、考えられない。
僕は、拒絶していた筈なのに。
今は拒絶できない。
頭がふわふわする。
…あぁ、そっか。俺、さっきまで…。
母「また母さんの所来ない？」
神「ぇ…？」
母さんの、所に？
母さんは僕を、受け入れてくれたの？
もう、捨てられない。
―――でも、軍医の仕事どうしよう。
神「でも、俺軍医の仕事が…」
母「そんなのどうでも良いわよ。母さんと仕事、どっちが大切なの？」
…選択肢の無い、問い。
言わないと、言わないと…言わ、ないと…。
あれ…言えない…どうしよう…どうしようどうしよう…。
嫌だ…一人は嫌だ…もう、一人は…。
自然と息が上がってくる。
お、俺は、なんて言おうと、してるんだっけ…。
俺の中で、どっちの方が、大切？
母「そんなに焦らなくても良いわ。また来てね」
その日はそれで母さんの家を出た。
また…一人になっちゃう…また…また…。
一人…こわい…もう…一人は…いや…。
空からは雨が降りだした。
でもそんなのお構い無しに、耳を塞いでしゃがみこんでしまう。
誰か…だれか…
？「神？」
俺を、みつけて…。
凛とした鈴の様に綺麗な声が聞こえた瞬間、俺のところだけ雨が止んだ。
聞いたことのある声に、顔を上げる。
？「神、どうしたの？大丈夫？」
心配そうな顔をして俺と同じようにしゃがみこんで背中を擦ってくれるこの人は、俺がよく知ってる人。
俺はその人物に、勢い任せに抱き着いた。
そのせいで傘が落ちる。
神「…Aちゃん…」
君は、僕を見つけてくれるんだね。
貴「泣いてるの？こんなところ居たら風邪引くよ」
そんなの、Aちゃんも同じやん。
僕のせいでこんなに濡れて。
神「…Aちゃんは…なんでここに…？」
話を逸らす。
好きな子の前でくらい、泣いてる姿なんか見せたくない。
気づかれたくない。
貴「あーその…たまたま。まだ、戻れそうにはないかな…？」
そっか…まだ、戻ってこれないか。
Aちゃんがそう言うなら、俺はずっと待つよ。
俺が待てる間、ずっと。
神「うん。分かった。ほら、早く行きなよ」
貴「ぇ、でも…」
戸惑うAちゃんの背中を、精一杯押す。
神「早く」
貴「う、うん…またね」
神「うん。またね」
人混みの中、透明な傘を差した彼女は、見えなくなった。
ひ「あれ？ぺ神じゃん」
もうちょっと遅かったら、彼にバレてたなぁ。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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