♯3 ページ4
来て良いゾ。
俺から見て死角になっている方を見ながら手招きをする。
おいおいまさか…もう既にここに居るとかやないよな…？
まだ部屋片付けとらんのやけど…。
やべぇ…資料が散乱しとる。
現れたのは茶色の髪に茶色の瞳を持つ女性だった。
髪が風に靡いて、その表情をはっきりと俺に見せた。
思わず、声が出なくなる。
？「…今日からここの書記長補佐官を勤めさせていただきます。」
綺麗に御辞儀をして、再び顔があげられる。
見間違いなんかやない。
ずっと探してた…
貴「Aと申します。」
俺の、初恋の人。
部屋の窓から廊下に風が吹き抜ける。まるで俺の背中を押すように。
前より綺麗になったAを、俺は抱き締めた。
ト「…ぅ…ｯく…」
貴「泣かないでよトントン。」
あやすようにポンポンと優しく背中を叩かれる。
後ろに居た筈のグルさんは、いつの間にか居なくなっていた。
大方気を使ったんだろう。
ったく、こう言う時だけは、気を使うんが上手いな…あいつは…。
ト「一年も…何処行っとったんや…！」
貴「…修行、かな？お陰でいろんな国の言語を話せるようになったし、戦えるようにもなったんだよ。」
ト「…凄い…けど…めっちゃ心配、したん、やからな…」
貴「あはは、ごめんね。」
取り敢えず中入ろ？
そう言われ、ここが廊下だったことを思い出す。
幸い誰も通っていない。
Aの手を握ったまま部屋に入った。
扉を少し押せば、風のお陰で直ぐに閉まる。
貴「ここに来るの久し振り。」
ト「そらそうやろな。一年も居らんかったら結構変わっとるやろ。」
貴「うん。桜も咲いてたし、花の種類も増えてた。使用人さんも新しい人居たし。」
ふんわりと微笑みながら本当に楽しそうにそう話すAに、釣られて自分の口角も上がる。
ト「他の奴等にはもう会ったんか？」
貴「まだグルさんだけ。」
ちょっとした優越感と、ちょっとした悔しさが渦巻く。
他の奴等より先にAに会えたこと、グルさんには先を越されたこと。
自分でもちっさい奴やとつくづく思う。
貴「グルさんに頼んでトントンの一番近くに居れるようにしてもらったんだ。勉強ばっか頑張っちゃったのは、きっとトントンのせいだね。」
その時、一際強い風が部屋に雪崩れ込み、地面に無造作に置かれた書類が宙に舞った。
俺とAは、その書類のせいで見えなくなる。
風が止んだ時、俺はAの唇を奪っていた。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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