♯3 ページ30
固い何か―――拳銃を突き付けている、気配からして男は俺に問い掛ける。
「お前が兄さんか？」
なんや、あんま表舞台に出んから知られとらんのかと思ったけど、意外と知られとったんやな。
あーまぁ服装があれやもんな。
白い服にカーディガン、灰色のスキニー…おまけに紫のストール。
なんか俺の特徴的なやつでそんなんが出回っとったような気がしなくもない。
気しかしないが。
兄「あーまぁそうですが」
この状況、俺は狙撃の為に這うような体制、相手はいつでも攻撃できる。
つまり、圧倒的に俺が不利。
俺の現役もここで終了か…天国か地獄ならせめて天国が良いな。
なんて馬鹿な事を考えてみたりする。
だが俺の予想とは違う方向に行った。
兄「ｯ？！んーん”ー？！」
布を口で押さえられた。
くそ…人質にするつもりか…。
何とか抵抗するが、間接を押さえられれば動かせない。
こいつ……いしきが……。
ｻﾞｼｭｯ
肉を裂くような音と共に体が解放される。
直ぐに男の方を見れば、そいつは死んでいた。
…頸動脈を一撃。
未だフワフワする意識で、その場に立ち上がる。
？「にぃ、ん…だいじょ…ぶ…？」
兄「だ、れや…」
視界がグワングワン揺れて話し掛けてくる人物の顔が見えない。
声も、途切れ途切れにしか。
筈なのに俺は、その人物に抱き着いていた。
無意識に、言葉が紡がれる。
兄「…ごめん…な…ひとりにして…A…」
貴「ｯ…」
分からない、筈だった。
でも、何故か分かった。
何故か、離しちゃいけないと思った。
引き留めないとって。
意識も段々はっきりしてきて、Aの体を少し離せば、ちゃんと顔が見えた。
前より大人びた、Aの顔が。
兄「…大きくなったな」
たった一年やけど。
いや、一年も経ったんか。
貴「…まだ…私は…兄さんにとって、妹でしかない？」
兄「ｯ」
言葉に詰まる。
本当は、もっと別の目で、Aを見ていた。
でも自分の気持ちに気付くんが怖くて、誤魔化してた。
今まで、ずっと。
貴「んっ…」
兄「…んな訳ないやろ」
好きだからこそ、手を出せん相手も居るんやで。
今まで我慢してきた分か、そのままの流れで深く、深くキスをした。
兄「…こんな事、好きな奴にしかせぇへんで？」
貴「ｯ…う、ん…」
まだ戦時中なのにこんなことしとるってバレたら怒られるやろうな…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
