♯2 ページ3
そんな考えを否定するように、彼女が現れた。
…Aだ。
Aは、どうしても苦手だった。
最初は嫌い、嫌いと拒絶しリナと居たが、心の何処かで、完全には嫌いになれなかった。
だからリナが傷つけられた時、俺は少し喜んでしまった。
彼女を嫌う口実が出来る、と。
似ていたから。あまりにも、囚われている俺に、Aが似ていたから。
そんなAを見て、俺は否定した。
自分で自分を否定している気分だった。
そして、グルさんにも言った全く感情が感じられない事。
正直怖かったし、不気味やった。
あの男と似ていた。
でも次第に、違うって気付いた。
彼女は…Aは段々と変わっていった。
それを見て、俺も変われる気がした。
ちょっとした希望。
ただそれだけの筈だった。
気付けば、完全に溺れてしまっている。
他の奴等もそうだ。
きっと、俺なんて眼中にない。
俺の初恋なんて、実りやしない。
＊
＊
ふっと浮上してきた意識と共に目を開ける。
眩しい光に何度か瞬きを繰り返して、起き上がった。
相変わらず窓は開いたまま、カーテンを揺らしている。
時間を見れば、あれから三時間程経っていた。
流石苦労人。寝たくてもそんな寝れねぇわ。
ト「はぁ〜…仕事しよ…」
三時間前と比べてスッキリした頭。
ソファーから立ち上がり、体を伸ばした。
ｺﾝｺﾝ
そんな時、心地よいその音は部屋に響いた。
適当に返して扉を開ける。
グ「お、なんだ寝てたのか。」
そこに立っているのは忌々しき人物、グルッペンである。
だがそれでも完全に憎めていない俺は少し甘いのだろうか。
ト「おう…お陰様でな。」
後頭部を片手で掻きながらいつも通り用件を聞く。
すると目の前のこの男は待ってましたと言うように口許に笑みを称えた。
…な〜んか嫌な予感がするんやけど。
グ「実はだな、今日は毎日仕事に追われているお前に、部下を連れてきた。書記長補佐官だ。」
ト「あぁ？補佐官？あんたまた余計な事を…。」
こっちは仕事に追われて部下を指導する暇も無いんやぞ。
重々しく溜め息を吐けば俺の心情を読み取ってくれたのか、出来る奴だから心配は無用、らしい。
いきなりんな事言われても…。
と、毎回突然なこの男に言ったところでどうにかなるわけでもあるまい。
諦め半分に俺は頷いた。
それが吉と出るとは、この時の俺は気づかなかった。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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