♯2 ページ11
軍曹とは小さい頃出会った。
世間知らずのぼんぼんの息子で、好奇心旺盛、僕と同い年なくせに子供っぽかった。
それとは真逆で、僕はボロボロの古ぼけた服を着て、人間が大嫌いだった。
それ故人と関わらんとする為に目付きは悪く、性格も悪かった。
悪口は当然。目の下には濃い隈、痣、切り傷。全て当たり前。
そんな髪はボサボサで、裸足で、ボロボロの眼鏡を掛けていた俺に、綺麗な服を着て、髪も手入れされている軍曹が話し掛けてきた。
軍『ねぇねぇ、君の名前って何て言うの？』
確か5、6歳の時。
鬱『…何で俺があんたに名前教えんといけんの。意味わからんわ。』
俺、という一人称はこの時の癖。
その時、確かに俺は突き放した筈だった。
背を向け歩き出した俺の後ろを、ヒヨコのようにちょこちょことずっと着いてくる。
流石にイラついた俺は立ち止まって軍曹に向き直った。
鬱『あんたさっきからなんなん？！鬱陶しいねん！世間知らずのガキはさっさと家帰れや！！』
そんな風に怒鳴っても軍曹は離れていこうとしなかった。
少し間を開けてずっと黙っている軍曹を無視して俺は立ち去ろうとした。
だがそれは少しの引っ張られる感覚に止められる。
軍『ぼ、ぼく…帰る所ないの…すて、られちゃった…』
弱っちくて、振り払おうと思えば、簡単に振り払えた手だった。
でも俺は、振り払えなかった。
鬱『…だあぁもう勝手にしやがれ！！』
軍『ｯ…うんっ！』
それからずっと、軍曹は俺の後ばかり追ってきた。
それが、俺と軍曹との出会い。
なんて、こんな記憶今更思い出した所で。
鬱「で？なんか様か？」
軍「いやまぁ、なんか元気無さそうだったんで。」
手摺に座ったまま、まだ何処か純粋さの残っている瞳に見つめられる。
今はいつも着けているガスマスクを着けていないからか、いつもより綺麗に見える。
まぁあのガスマスク、今じゃ意味無いんやけど。
元々僕みたいに目で相手を威圧出来んかった軍曹の為に俺があげたもんやし。
鬱「まーなー」
軍「あんたらしくないな。」
鬱「そうかぁ？僕やって元気ない時位あるわ。」
軍「え。」
鬱「おい！」
軍曹と話せて、ちょっとは気ぃ紛れたかも。
やっぱ綺麗やな。
お前も、Aちゃんも。
俺みたいに、汚れてない。
いろんな物が綺麗に見える、そんな透き通った目をしとる。
これからも、汚さんとってな。
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あまだぬき - 生まれて初めて小説で号泣しました…（；ω；）一番大好きです！！ずっと応援します！！（因みに１日で全部読みました←） (2019年6月9日 20時) (
レス) id: 38006c9f1d (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - ソフィアさん» 私も好きです。(唐突返し←) (2019年5月19日 2時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
ソフィア(プロフ) - 好きです。(唐突) (2019年5月19日 1時) (レス) id: 9f5b306141 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - trapさん» また暫くしたら初めから読みたいと思います！まだまだ読みたいなと思い続と書かれているのを見る度ガッツポーズでした！ (2019年5月14日 10時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
trap(プロフ) - すみれいんさん» こんなくそ長い小説をここまで読んで頂きありがとうございました！お仕事中も脳内を支配できたならこちらとしても嬉しい限りです( ＾∀＾) (2019年5月12日 13時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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