72．土下座 ページ29
朝。
昨日はグルさんに「取り敢えず解散！！！」と言われ私は部屋に戻った。
いつものように城下に朝食を取りに行こうと思ったんだけど。
…目の前で土下座しているシャオロンさんを誰かどうにかしてください。
天井の板を外したら朝こうなってた。
シャオロンさんが土下座する必要ないのに。
貴「あ、あの、シャオロンさん？あ、頭あげてください。」
シ「今まで最低な事言ってすみませんでした！！！俺の事は許さなくて良いです！！！一生恨んでください！！！！お願いします！！！」
ずっとこの調子なんです。
誰か助けて。
誰かシャオロンさん止めて。
貴「別に恨んでませんから。許すも何もシャオロンさんは悪くないです。顔あげてください。」
シ「俺はずっとあんな奴に騙されてたくそ男です！！！ちょっと優しくされただけで信じてもうたんです！！！もういっそ一思いに殺してください！！！！」
貴「あ、頭あげて…。」
どうしよう。彼を傷つけてしまった。
こうなったのも私のせいだし。
どうしよう。こんなに誰かに謝罪されたのなんて初めてなんだけど。
え、分かんない。どうしよう。
貴「シャオロンさん、私の方こそ、ごめんなさい。」
もうどうしたら良いのか分からなくなって、私も土下座する。
ばっとシャオロンさんが頭を上げたのが分かった。
良かった。
貴「ずっと騙してました。善良な貴方の気持ちを弄びました。最低です。私こそ殺されるべきなんです。殺してください。シャオロンさんに殺されるなら別に良いです。」
シ「え、ちょ、あ、頭あげて？！Aさんが謝るとか意味不明やから！謝んの俺やから！」
シャオロンさんに無理やり体を起こされそうになるも、踏ん張って抵抗する。
シャオロンさんも負けじと力を入れる。
こんな勝負勝てるわけもなく、私は彼と顔を会わせる。
貴「シャオロンさんが謝るなら私も謝ります。」
シ「くっ…わ、分か、った…もう土下座はせん。」
貴「謝罪も無しです。」
シ「う”っ…」
彼はどこまでお人好しなのだろう。
人が良すぎる。
きっとリナの事も優しくしてもらったんだから信用しないとって気持ちからなんだろう。
彼は悪くない。
あの対応は普通なのだ。
シ「…俺は、最低な事をした。これからはなにがあっても信じる！！あんたの嘘を見抜く！！！」
貴「それは…楽しみですね。」
シ「俺の事も呼び捨てタメでええで！」
貴「じゃあ私も。」
シ「え、それは無理。」
貴「おい。」
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