『G』−１９ ページ6
「ンふ、バレてしもうとったんか」
「……そりゃ、マァ」
へらり、笑うその人に余り悔しげな様子はない。
実際の所は知らないが、と思いつつ、頷く。
随分な付き合いになるのだから、企んでいる時の顔位は何と無く覚えるものである。
正直、要らない処に海馬の要領を使っている気がするのだが、此の詐欺師も吃驚の我が上司相手には仕方のない事なのだ、と言う事にしておく。
「こんな後やから、信憑性は皆無なんやろうけど」
と、後ろから腕が伸びてきて、私を捕らえた。
先程よりも随分と縮まった距離。さらりと藍を帯びた髪が頬に掛る。
後ろから抱きすくめられていた。
「さっき言うたのは、全部本音やで？」
多分に息を含んだ声は、先程の甘える様な声とは全く違う、艶めいた声だった。
吐息が耳に掛って、思わず、含羞で
「ン、」
と、身を捩る。
不覚だ。
仕事中に時々揶揄われるにしても、大概何のことはない顔で耐えているのに……。
余りに唐突過ぎて身構える暇がなかったのもそうだし、仕事の気分が抜けている。
いけないな、と、自分を叱責した。
にしても、軽率にそう言う事をしないで頂きたい。
背後からで顔が見えなくて良かった、多分見えた表情ではない。
私の反応に如何満足したのか、私を解放して、愛銃を返してくれた。
成程、揶揄いが過ぎる。後で書類仕事を重点的に、書記長に強請りに行こう。幾らでもくれる筈だ。
「頑張りや？」
「……えぇ」
可愛げも無いが、頷く。
あの後で可愛らしい反応をくれると思わないで欲しい。否、そうでなくともそんな愛想の良い反応が出来る訳がないのだが。
背を向けて、淡々と歩き出す。
その背の言葉には、気付かずに。
「……えッろ……、あれは狡いわ……」
.
＊＊
「＜確認したで、大先生黒。って事は補佐さん白や＞」
「＜俺も一緒だよ＞」
オスマン様と、ひとらんらん様の声。
両方が同じチームなので、何方かが虚偽申告をすれば確実に黒になるから、それはない。抑もあの反応からして、同チームのシャオロン様が黒だろうから、……多分……。
「リアル狂人」と名高いシャオロン様なので、今となって訳の解らない疑心が持ち上がる。
「＜よっしゃ、シッマ殺った！！＞」
「＜お、ナイスぅ！！＞」
色とりどりの称賛。然しゾム様は、
「＜や、でもシャオロン逃したんよなァ……ザック殺られてもうたし＞」
と、やや不満そう。
「＜でも之で、先ずシャオロンは黒やで＞」
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遥彼方 - 杏月さん» コメント有難うございます。赤の件、伏してお詫び申し上げます。私としてもあの作品を仕上げられないことはとても残念です。天使の方はきっと最後まで持っていこうと思いますので、これからもお付き合いの程宜しくお願い致します。 (2022年3月18日 20時) (
レス) id: db6f42df22 (このIDを非表示/違反報告)
杏月 - 青の頃から白、赤と続けて拝読させて頂いてます。赤の件悲しすぎてコメント(気恥しいので非ログですが)してしまいました。天使の連載楽しみに待っていますので今後もご自身のご都合を優先しながらゆるゆると書いて頂ければなと思います。陰ながら応援し続けております。 (2022年3月17日 18時) (レス) id: 2c2cf1c18b (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 零空さん» いえいえ、此方こそリクエスト有難う御座いました。満足頂けたようで、本当に何よりでございます。そう仰って頂ければ私の中では成功です、お褒めの言葉有難うございます！応援の言葉、確かに胸に刻ませて頂きました。之からもお付き合いの程宜しくお願い致します！ (2020年4月5日 0時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
零空 - リクエストに応えて下さり有難う御座いました。私はとても満足しました！厄介なお願いだったにもかかわらず短期間で、然も私の想像をはるかに超えた内容で吃驚です。上から目線になってしまいますが、次回作楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2020年4月4日 21時) (レス) id: 504800a470 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» お久しぶりです、コメント有難うございます。否ぁ、天使の時計人気ですね、吃驚しました。予想以上の反響で嬉しいです。有難いお言葉を有難うございます！プロット練ってみようかなと考え中です……（単純） (2020年3月26日 2時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年3月6日 10時
