↓ ページ35
その金髪は日光に艶やかに撫でられ、全く見事な色であった。
双眸の赤の激烈な印象は、階級の上にこそ立つと本能的に理解できるもので。
＿＿そしてそれで俺は、気が付いたのだ。
激しい頭の痛みと共に。
＿＿俺がずっと探していた物は、此奴だった。
此奴らだった。＿＿＿
.
.
＊＊
「＿＿＿＿＿＿グルッペン」
「＿＿＿嗚呼、コネシマ。憶えて居たか」
運び込まれた部屋。
ベッドの上の俺と、その隣に立つグルッペンと。
眼の醒めた俺は、未だ残る頭痛を無視して、噺をしていた。
乙黒、と、此方では言うらしいグルッペン。
その容貌でその準日本人の名前だ、面倒事も多かっただろうなとふと思う。俺も良く絡まれたものだ。
「今、思い出してんけどな。……」
何故忘れていたのだろうかと不思議になる位の、あの鮮やかな記憶。
一気に雪崩込んで来た情報のおかげで、俺の頭の中は一時情報過多が過ぎたものだが、思い出してしまえばなんて事は無い。
寧ろ、しっくりきた。
俺の今までの「下らない」と投げ捨ててきた感覚の全てが、きっかりこれで説明がつく。
「他は？ 俺だけってことはないやろ？」
「残念ながらそのまさかだ。……何処に如何散らばったのかも予想がつかんからな」
「……」
嗚呼、その通りだ。
世界は広い。広いのだ。
黙りこくった俺を他所に、然し、グルッペンは不敵に笑って見せた。
「とは言え、黙ってそれで泣き寝入りを決め込む訳はない。それで、之だ」
見せて来た端末の画面。
その文字に、俺は思わず目を瞬かせた。
「……ゲーム実況者？」
文字列を只読めば、そうだ。と、頷く。
そして、ややスクロールをすれば。
ぱちりと、此の突拍子のない行動の訳が分かった。
そして、くつくつ、後から後から笑いが込み上げて来た。
「＿＿＿嗚呼、ホンマ、」
お前は最高や。
文字列の響きに、記憶が蘇り、背筋にすっと風が通ったように粟立つ。
.
＿＿＿＿我々だ。
.
「最も世界の眼に晒される場所だ。彼奴らがネットの片隅、此の掲示に辿り着くかどうかは賭けだが、……」
争いの好きな彼奴らの性が、そう簡単に変わるだろうか。
正直俺の方は思い出した今になれば解る事なのだが、ほぼ変わっていない。記憶があるか無いかというだけだ。
「如何する、コネシマ？」
＿＿答えるまでもない。
再びを掲げる軍旗を。
俺は再び、追う。
世界が再び、動き出す。
＊＊
一旦此処まで
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥彼方 - 杏月さん» コメント有難うございます。赤の件、伏してお詫び申し上げます。私としてもあの作品を仕上げられないことはとても残念です。天使の方はきっと最後まで持っていこうと思いますので、これからもお付き合いの程宜しくお願い致します。 (2022年3月18日 20時) (
レス) id: db6f42df22 (このIDを非表示/違反報告)
杏月 - 青の頃から白、赤と続けて拝読させて頂いてます。赤の件悲しすぎてコメント(気恥しいので非ログですが)してしまいました。天使の連載楽しみに待っていますので今後もご自身のご都合を優先しながらゆるゆると書いて頂ければなと思います。陰ながら応援し続けております。 (2022年3月17日 18時) (レス) id: 2c2cf1c18b (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 零空さん» いえいえ、此方こそリクエスト有難う御座いました。満足頂けたようで、本当に何よりでございます。そう仰って頂ければ私の中では成功です、お褒めの言葉有難うございます！応援の言葉、確かに胸に刻ませて頂きました。之からもお付き合いの程宜しくお願い致します！ (2020年4月5日 0時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
零空 - リクエストに応えて下さり有難う御座いました。私はとても満足しました！厄介なお願いだったにもかかわらず短期間で、然も私の想像をはるかに超えた内容で吃驚です。上から目線になってしまいますが、次回作楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2020年4月4日 21時) (レス) id: 504800a470 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» お久しぶりです、コメント有難うございます。否ぁ、天使の時計人気ですね、吃驚しました。予想以上の反響で嬉しいです。有難いお言葉を有難うございます！プロット練ってみようかなと考え中です……（単純） (2020年3月26日 2時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年3月6日 10時
