『G』−２−３ ページ23
鬱様の言葉に、沈黙が下りた。
「……そろそろ何とかせな、雷落ちますよ」
と、ショッピ様が奇妙に静かな声で言った。
「エミさんとか一応手伝っとるんやろ？ あれでも」
「云うて私の権限やと、出来る書類も限られるんですけどね」
ロボロ様の問いに、エーミール様は苦笑しながらも頷く。
確かに、あの机上の書類を見ただけでくらくらする。
「そろそろしんぺいさんが出張るかも知れんで」
と、鬱様は一旦煙草の灰を落しながら、言う。
確かに、あの極限状態の書記長を抑えられるのは、しんぺい神様だけかもしれない。
「一回そういや、大先生ン処の補佐貸して、って言うとらんかった？」
「え？」
私の方を見て、コネシマ様が思い出したように言った。
そんな話は一切耳に入って居ないので、只目を瞬かせるより他ない。
「あ、ちゃうわ。アレ、大先生が結局有耶無耶にしたんか」
そう言うと、コネシマ様はからりと笑った。
……。
無言で我が上司を見遣ると、何処吹く風の顔で煙草を吸っている。
…………。
「一応手を出しても問題なさそうな場所は、手伝いに上がって居るのですが」
全く机上から書類が減らない、っていう……。
口の中で呟いた言葉を正確に聞き取ったショッピ様が、「あれは異常ですから」と、何本目かは知らないが、次の煙草に火をつけた。
第二補佐も仕事には慣れてきて、或る程度は仕事を任せられると思う。
が、残念ながら、一日書記長の方にお手伝いに上がったとして、だ。
「ま、サボる大先生の首根っこ掴める奴やそう居らんから、仕事量の諸々考えたら結局」
と、コネシマ様は一度言葉を切って、一つ、煙草を吸う。
紫煙に塗れた息を吐いたが、言葉の先が来る事は無かった。
「……あ、そう言えば」
と、私はふと彼の氷色を移したようなアイスブルーの眼を見て、思い出した。
ロボロ様にお会いする少し前、ゾム様にお会いした事を。
「コネシマ様、ゾム様から伝言を預かって居ますが」
「お、何や？」
ふと振り返る水色の眼は何と言うか無垢で、少々申し訳ない気もするのだが、「会ったら伝えといて！」と言われた以上、言わないと此方に被害が及ぶ可能性があるので仕方がない。
「……『昼、焼き肉の後の二軒目、何処が良い？』と」
……沈黙。
「何で俺が行く前提やねん！」
と、コネシマ様が悲痛に叫ぶ。
書記長とコネシマ様は特に、この手の『被害』に遭われるのである。恐らく気に入られて居るのだろう。
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遥彼方 - 杏月さん» コメント有難うございます。赤の件、伏してお詫び申し上げます。私としてもあの作品を仕上げられないことはとても残念です。天使の方はきっと最後まで持っていこうと思いますので、これからもお付き合いの程宜しくお願い致します。 (2022年3月18日 20時) (
レス) id: db6f42df22 (このIDを非表示/違反報告)
杏月 - 青の頃から白、赤と続けて拝読させて頂いてます。赤の件悲しすぎてコメント(気恥しいので非ログですが)してしまいました。天使の連載楽しみに待っていますので今後もご自身のご都合を優先しながらゆるゆると書いて頂ければなと思います。陰ながら応援し続けております。 (2022年3月17日 18時) (レス) id: 2c2cf1c18b (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 零空さん» いえいえ、此方こそリクエスト有難う御座いました。満足頂けたようで、本当に何よりでございます。そう仰って頂ければ私の中では成功です、お褒めの言葉有難うございます！応援の言葉、確かに胸に刻ませて頂きました。之からもお付き合いの程宜しくお願い致します！ (2020年4月5日 0時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
零空 - リクエストに応えて下さり有難う御座いました。私はとても満足しました！厄介なお願いだったにもかかわらず短期間で、然も私の想像をはるかに超えた内容で吃驚です。上から目線になってしまいますが、次回作楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2020年4月4日 21時) (レス) id: 504800a470 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» お久しぶりです、コメント有難うございます。否ぁ、天使の時計人気ですね、吃驚しました。予想以上の反響で嬉しいです。有難いお言葉を有難うございます！プロット練ってみようかなと考え中です……（単純） (2020年3月26日 2時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年3月6日 10時
