『G』−１６ ページ3
銃を構え直し、た、
＿＿処で。
「ッ！？」
背後からいきなり白い手が伸びてきて、ぱっ、と、口元を塞いだ。
冷たくない掌、節の張った細い指。
目線を、出来得る限りに後ろにやる。
とは言え、そう見えたものではないのだが、恐らく、予想は合って居る筈だ。
私はこの手の主を、厭と云う程知っている。
身体から、少し力が抜ける。
此の人に対しては、＿＿まァ他の幹部程ではないにしろ＿＿抵抗が憚られる。
他の幹部様達と違うのは、それが私的な感情を含んでいる、と言う処か。
抵抗を辞めた私の身体を、その誰かはさっと引き込んで、建物の裏に隠れる。
背から、ほんのりと体温が伝わって来た。
さら、と、髪の先が頬を擽る。
きっとそれ以上に、その人自身の私の口を塞ぐ手に、髪がかかっているのだろうが。
しィ。
と、耳元に寄せられた唇が、九割息でできたような音を、発した。
まるで子供に言い聞かせる様なそれは、沈黙を合図していて。
喉元で燻って居た声が、体の内の何処かへ消えて行くのを確認してか、私の口から手を離し、向き合わせた。
へら、と、鬱様が、笑っている。
予想通りの人物が其処に居る事に余り愕きは感じなかった。それ以上に、何故彼が此処に居るのか、という方に気が向いた。
あの会話だけでは、誰が何処にいるかは解らない。
と言う事は、この近くに元々いたのだろうか。
少し考えを巡らせるが、その考えが纏まるより先、鬱様は普段よりも声量を抑えた、息交じりの低い声で、
「
私の手を自然にとって、引く。
足音に少しだけ気を配りながらも、早足に戦闘の中心から離れていく。
少し首席の事は気にかからないでは無いが、大丈夫だろう、多分。首席の強さは、同期だった私の重々知る処である。
シャオロン様に敵うかは別問題だが、少しは槍の切先も届くだろう。と言うか、届かないと困る、
其処で首席が『死んで』居ようが、『賭け』の内容としては全く問題ないので、共倒れ位が正直、一番有難いな。
と、恐ろしく腹黒い計算を頭の中で淡々と処理する。
少なくとも一対一になったゾム様は、コネシマ様に打撃を与えられる筈だ。
あの状態で援護に入るのは誰でも厳しいし、内ゲバ一騎打ちだ、位に思えば良いだろうか。
「……よく私があそこにいると解りましたね」
「嗚呼、近くに居ったんよ。ゾムが盛大に呼んどったから、こそッと覗いてみたら、ホンマにA居って」
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遥彼方 - 杏月さん» コメント有難うございます。赤の件、伏してお詫び申し上げます。私としてもあの作品を仕上げられないことはとても残念です。天使の方はきっと最後まで持っていこうと思いますので、これからもお付き合いの程宜しくお願い致します。 (2022年3月18日 20時) (
レス) id: db6f42df22 (このIDを非表示/違反報告)
杏月 - 青の頃から白、赤と続けて拝読させて頂いてます。赤の件悲しすぎてコメント(気恥しいので非ログですが)してしまいました。天使の連載楽しみに待っていますので今後もご自身のご都合を優先しながらゆるゆると書いて頂ければなと思います。陰ながら応援し続けております。 (2022年3月17日 18時) (レス) id: 2c2cf1c18b (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 零空さん» いえいえ、此方こそリクエスト有難う御座いました。満足頂けたようで、本当に何よりでございます。そう仰って頂ければ私の中では成功です、お褒めの言葉有難うございます！応援の言葉、確かに胸に刻ませて頂きました。之からもお付き合いの程宜しくお願い致します！ (2020年4月5日 0時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
零空 - リクエストに応えて下さり有難う御座いました。私はとても満足しました！厄介なお願いだったにもかかわらず短期間で、然も私の想像をはるかに超えた内容で吃驚です。上から目線になってしまいますが、次回作楽しみにしています。これからも頑張ってください！ (2020年4月4日 21時) (レス) id: 504800a470 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» お久しぶりです、コメント有難うございます。否ぁ、天使の時計人気ですね、吃驚しました。予想以上の反響で嬉しいです。有難いお言葉を有難うございます！プロット練ってみようかなと考え中です……（単純） (2020年3月26日 2時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2020年3月6日 10時
