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意志の強そうな瞳は大きく、長い睫毛が縁取り、ふっくらとして柔らかそうな唇は桃色に色付いていた。その唇から紡がれていく言葉はマイクを通してはっきりと聞こえて来た。緊張したような硬い声はしかし耳に心地よかった。

けれど、

「生徒会長選挙、当選者はグルッペン・フューラー君となりました。」

感情を押し殺した放送部の声が体育館に響く。
知らせれた結果に当然だと思いながらも何処かで彼女の声は生徒に届かなかったのだの落胆した。

悔しそうに、吹っ切れたように俺に拍手を送る彼女。そのまま壇上を降りようとする姿を見て思わず体が動いた。就任の挨拶を貰おうとマイクを片手に近づいてきた生徒からマイクを奪いとり彼女の肩を叩いた。


驚いたように肩を震わせる彼女に対しとっさに言葉を投げると戸惑いながらも受け取り、更には生徒に対して宣言をした。

その姿に、惚れた。

ーーーー


月日は流れ文化祭の季節がやってきた。生徒会、時期生徒会のメンバーは準備で忙しいこの時期。告白するつもりはなかった。余計なことで彼女の心労を増やしたくはなかったから。

だが、寂しくなると心の中を吐露した彼女の姿に思わず口走ってしまった。

これは振られてもないも言えないとらしくもなく弱気になれば聞こえてきたのは予想を反する一言が追加されたものだった。

口を挟みたくなりながらも最後まで聞けばこちらが恥ずかしくなるほど真っ直ぐな気持ち。…反則だろう。

告白した側なのに強気な言葉を投げても彼女は嬉しそうに返事をするだけだった。調子が狂う。

しかし、まあいい。二年、二年だ。にんまりと口角を上げながら生徒会室を出る。聞き耳を立てていたのか隠れ遅れた仲間の姿がちらりと見えた。言及する気にもなれずただ呆れる。



今は気分がいい。


二年後が楽しみだ。

別れは私から【ut】→←└



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作者名:むぎ | 作成日時:2017年8月13日 22時

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