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国語のテストが帰ってきた瞬間にこちらを見て満面の笑みを見せてくる彼女に、かわいいなと思っている自分を自覚した
まぁまだいい点数とは言えんかったけど、それでも初めから比べれば大したものだった
それ以降国語の授業についていけないとすぐ俺の席に来て質問をするのが恒例行事となり、俺自身彼女との近すぎる距離に毎回ドギマギしてしまったのを覚えてる
夏休みも宿題を図書館で一緒にやったり、カフェに行ってみたり
多分その頃には彼女も俺に好意を寄せてて、お互いそれに気付きながらも当時の関係性が心地よくて
やっと俺から想いを伝えたんが三学期の終業式
二年になって関わり無くなったら嫌やなって思ったら言ってしまっててんな。まぁ結局三年間クラス一緒だったわけやけど
二年の頃はそれなりにデートもしたし、今思えば初な時期もあったなぁと思う
そんな高校時代が終わり大学生にもなれば、なかなか手を繋いだりもせんくなって
今となってはキスもハグも絶滅危惧種やなとか思って
ふと自分が今思ったことを考えると、絶滅危惧種ってそんな不思議な言い回し、俺も大分Aに毒されとるなぁ…
ふわふわした君がいないのはもう考えられへんけど
もし俺からの想いとか愛にあきて、秘密主義でクールな奴に振り回されたいって言うなら
俺だって、……まぁ何とかすんねんぞ
いつかAが言った『トントンは私がいないとダメだね』って言葉は割と当たってて
せやから、あの頃の甘酸っぱい気持ちがもうわかんなくなってたって、俺はどうにかして君を繋ぎ止めてみせるよ
ソファに座ってまだテレビを見てる君の手を取って
高校の時から変わらん、いつもの温度に少し寂しいような気もするけど
「なぁA、結婚しよか」
いつもビックリさせられてばっかじゃ俺も癪やから
今日は少し俺が上手かな
『…っ、一生トントンの太陽になれるっ？』
……やっぱ、君の方が数倍上手みたいやわ
「俺にとってはずっとAが太陽やで」
すごい勢いで抱きついてきた彼女
優しく体を離して涙を拭ってやれば、俺の大好きな満面の笑みを見せてくれる
「っし。さっき買ってきたアップルパイでも食べよか？」
出来たてよりは冷めとるけど
『甘酸っぱいねぇ』って君が言うから、俺らは多分これからもずっと一緒だ
*＊*＊*＊
アップルパイ
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作者名：ユレ | 作成日時：2020年2月2日 1時
