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散々煽った後、苛ついている沙那を見兼ねてか、依織が来た。
2人は交代して、俺たちを牢屋?から出し、手首と首に鎖を付けた。
「お前らはこれからグロウサリン国国王、リギ陛下のコレクションの一部になる。光栄に思え」
「何だ、あのクソブスデブまだ生きてたのか。その様子なら、あのクソド低脳共も生きてるっぽいな」
「…口を慎め宝石眼」
「無理だね!何故なら俺は人間だから」
依織が人形のようになって、俺たちに説明をしてきた。
それを蒼哉が暴言の嵐で返していく。
クソド低脳って、多分蒼哉の…。
でも煽ることが出来たのか、依織の顬には青筋が浮かんでいるのが見えた。
「お前がコレクションでは無ければ…」
「お?何だ殴るってか?殴っていいぜ?俺はコレクションじゃねぇし、お前らみたいな人形でも無い。御盾蒼哉って言う名前の人間だ」
「貴様…黙っていれば…!!」
「上が低脳だと下が苦労するってのは本当だなあ?見ろ、馬鹿は馬鹿しか作れねえ」
「ッ、テメェ…!」
「何をしている」
冷たい、色のない声が落ちる。
一瞬にしてその場の空気が凍り付いた。
「左大臣様…」
「…早くこの国から出るぞ。軍が勘づいた」
黒茶の髪、明るい茶色の目の男。
歳は、40後半から50前半くらいだろうか。
まるで貴族が着るような派手な赤と金の服で、正直目に毒な格好だ。
似合っていない。
「…"気を付けろ、ドゥラチョークだ"」
「!」
蒼哉が露西亜語で呟く。
確か、愚かとか愚か者って意味だった筈。
つまり、蒼哉の実父だ。
「シェル、既にここは本拠地より離れている。即刻作戦本部に向かい、本国にコレクションを持っていけ」
「…御意」
依織、が鉄紺の瞳を揺らがせながら頭を下げる。
その顔には怯えと恐怖しかなかった。
忠誠の欠片すら無かった。
「…まさか、愚息がコレクションに選ばれるとは。手元に残しておけば良かったか」
依織、否シェルの方を見ていたらいつのまにか目の前に手があった。
誰かの手と重なり、動けなくなった。
しかし、バチン、その手は弾かれる。
蒼哉がその手を蹴り上げていた。
「ーコイツに手ェ出すな」
その場の温度がもっと下がった。
シェルは目を見開き固まり、男は蹴られた手をそのままに呆然と蒼哉を見つめていた。
当の本人は、俺を下がらせて、瞳孔をかっ開いて男を見ていた。
睨んでいたのではなく、見ていた。
「…早く連れてこい」
そう言って、男は踵を返した。
「…吃驚した、阿呆哉」
「ごめ…いや阿呆哉て」
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東の番長(プロフ) - オリジナルフラグは外してます (2019年3月11日 23時) (レス) id: 5e10ec5b24 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年3月11日 22時) (レス) id: 1d0a45b264 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東の番長 | 作成日時:2019年3月11日 22時