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ー藜が目覚めたー
その報せを聞いて､一気に力が抜けた｡
腰掛けていたソファから立ち上がり､すぐに沈み込む｡
暫くして､深く､長く息を吐き出した｡
「…安心しました？」
「…うん」
「私もです｡彼女が､無事で…」
ふと､気になった｡
エミさん先生は､"あの時"初めて俺たちを知った様子だった｡しかし､ーショッピ幹部を除いてー幹部方は､藜を知っている様子だった｡
俺と藜は､藜が過ごしていた施設の敷地内で会った｡
年少位の子供なら余裕で入れるくらいの少し高い木の下｡
黒いサイズの合っていないパーカー､白い膝丈の短パン､風でふわふわと揺れる長さの合わない白銀の髪｡
明らかに不健康児の体付きの､幼い藜はそこに座り込んで虚空を見つめていた｡
まるで､人形のようだと当時は思っていた｡
『…なあ､』
『…』
話しかけると､藜はゆっくりと顔をこちらに向けた｡
光のない､真ん丸で大きな瞳｡
白く､微かに青みがかった右目｡
数色の色が混じっている蒼と青緑の左目｡
『…ここにいて楽しいか？』
『…うん』
『1人なのに？』
『…あそぶの､わからない』
真ん丸に開いた瞳が少しだけ伏せられる｡
応え方がたどたどしいなと思った｡
そんな姿が､その時は可哀想だと思って遊び方を教えたりしていた｡
友達と遊ぶよりも､楽しかったのを覚えている｡
心做しか､彼奴の顔も緩んでいた気がした｡
『なあ！俺､蒼哉！御盾蒼哉！お前は？』
『…あ､あか､ざ｡御剣､藜…』
『アカザ！俺たち友達だよな？また遊ばないか？』
『…あそんで､いいの？』
『当たり前だろ！』
そう言うと､藜はふにゃりと笑った｡
それが嬉しくて､たまらなかった｡
そこに､当時一緒に住んでいた父方の祖父母が迎えに来た｡
『…かえるの…？』
『うん…｡また来る､絶対だ！約束！』
『！…うん､やくそく…！』
小指と小指を絡めて､また会う約束をして､その時は帰った｡
父方の祖父ーカロクじぃちゃんが､この施設の総元締め？みたいな役職で､許可があればここに入り浸って､藜と遊んでいた｡
それを続けて､数ヶ月｡
俺は､カロクじぃちゃんに話した｡
『…じぃちゃん､俺…』
『…あの子の事か？』
『うん…｡もっと一緒に遊びたい｡もっと話してたい｡』
じぃちゃんは､豪快に笑った｡
『なんだあ？色恋沙汰か？』
『違う！！そんなんじゃなくて､その…彼奴を､守りたいって思った｡』
ー家族になりたいって､思ったんだー
じぃちゃんは分かっていたのか､優しく笑った｡
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東の番長(プロフ) - オリジナルフラグは外してます (2019年3月11日 23時) (
レス) id: 5e10ec5b24 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年3月11日 22時) (レス) id: 1d0a45b264 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東の番長 | 作成日時：2019年3月11日 22時
