21 ページ22
手を繋いだまま､長い廊下を歩いていく｡
しんぺい神さんの履いている下駄のカラコロという音が不似合いだけど｡
「…あ､の｡しんぺい､神さん､」
「好きに呼んでええよ｡どうしたん？」
顔布の隙間から見える薄氷色の瞳と目が合う｡
それだけで､何となくほっとする｡
「これから､何処に行くん､です…？」
「んーとね､蒼哉くんがいるとこ｡後エミさんもおるよ｡」
「そ､ですか…良かった…」
肩から力が抜けた気がした｡
そんなに時間は経ってない筈なのに､会うのは久しぶりな気がする｡
「あとねー…ゾム､分かる？」
「…ﾜ､わかり､ます｡」
「もしかしたらおるかもしれんねんな｡大丈夫？」
ゾム様､がいる｡
いや､これはチャンスだ｡
謝るチャンスだと思えば…ｲｹﾙｷｶﾞｽﾙ｡
「だ､大丈夫､です｡その､謝り､たいから…」
「そっか､だってゾム｡」
「気にせんでええんに｡」
「？！」
上から落ちてくる人｡
え、どっから来たの…！？
「ダクトやで｡んふふ､分かりやすいなあ｡」
固まっていると､頭を撫でられる｡
それが意外と優しくて､構えていたがすぐに解いた｡
この人は､サイコパスだなんだと言われてるけど､ホントは良い人らしい｡
「…えっと､ゾム様…？」
「ゾムでええよ｡」
「…ゾム､さん」
「ゾム」
「…ゾ､ゾム…」
「よし､ええ子や｡」
今度は両手でわしゃわしゃと頭を撫でられる｡
ここの人達は頭を撫でるのが好きなのか…？
少し恥ずかしく思っていると､しんぺい神さんが静止の声をかけた｡
「ほら､戯れてないで早く行くよー｡」
「あ､はい｡」
「俺も着いてくわ｡」
再度手を引かれる｡
そう言えば､繋いだまんまだったなあ…｡
でも､嫌じゃない｡
どっちかって言うと…恥ずかしいけど､好きだこういうの｡
俺は､1人で内心喜びながら､蒼哉と先生が待つ所へ向かった｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
東の番長(プロフ) - オリジナルフラグは外してます (2019年3月11日 23時) (
レス) id: 5e10ec5b24 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年3月11日 22時) (レス) id: 1d0a45b264 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東の番長 | 作成日時：2019年3月11日 22時
