とある国の元書記長は非現実的な現実に遭遇しました (ページ35)

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急に、グルッペンの眼が鋭くなる。
私を試すような眼になる。

gr「…いつから、気付いていた」

『シャオロンが意見を言ったところです。過保護やな、って言っていたとき』

gr「早いな……今回は俺の負けだ、次は覚悟しとけよ」

『ふふっ、楽しみにしています』

書記長だったころの勘を取り戻したい。
…だから、負けられない。

割と私、負けず嫌いなんだよね。

gr「次のネタを考えないといけないな」

『裏切るとか物騒なことはやめてくださいね』

gr「あー、それもアリか」

『話聞いていました？』

少しずつグルッペンにも慣れてきた。
この調子なら、いつかは＿＿＿＿＿＿＿

…いや、考えないでおこう。

gr「さ、休憩は終わりだ」

総統秘書として、あるべき姿を。

そんなことに拘る必要はなかった。
私は私なりに総統秘書をやっていく。

あるべき姿なんて無い。
この国で唯一の立場だから、指標なんてない。

…そう思えたってことは、私がこの国に居場所を見出だせたってこと。

ウルカよりも、この国が好きになった。
守りたいものが、この国に出来た。

あの頃と比べるとまだ慣れないことは多い。
それでも、我々国に居続けたい。

グルッペンの顔をちらりと見る。
この人が、私の分岐点だった。

『ありがとう』

思わず声に出てしまう。
驚いたように此方を見たグルッペンに微笑む。

彼は苦笑し、コーヒーを呷る。

室内にはペンか紙と擦れる音とキーボードを叩く音が響き渡る。
半分流れ作業で紙を処理していると、グルッペンが見るべき紙が混ざっていた。

『グルッペン様、これを』

gr「…タイミング良いな、時間だ」

＿＿＿宣戦布告。
グルッペンに渡した紙には、少し離れた国からのメッセージが書かれていた。

時計を見ると、そろそろお茶会の時間。

本当に、タイミングが良い。

グルッペンとトントンとオスマンが集まる時にメッセージを寄越すなんて。

gr「行くぞ」

お茶会に対する楽しみと、もうすぐ起こる戦争に対する楽しみ。2つがこの一言に乗る。

『…はい』

意外にも彼は手を差し伸べてきた。
驚きながらも、彼の手を取る。

いつか、彼と並んで歩けるように。

そんなことを、夢に見た。