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『失礼しまーす…』

誰もいないと分かっていても、昔からの癖は抜けない。人間ってそういうものだよね。

さてさて、紙は少ないよね。
多いのは紙じゃなくて、電子データだから。

メモリーカード持ってきて正解だった。


gr『A、悪いが俺の仕事を進めておいてくれないか?』

…そういえばまだ許可とってなかったっけ。
でも許可下りたって解釈でいいよね。

『分かりました、何でも進めておけば良いのですか?』

gr『嗚呼、何でもいい。頼んだぞ』


これは期限迫ってるって感じか。
成る程理解した、じゃあ頑張りますか。


.



それにしても多すぎません?
グルッペンどれだけ溜め込んでたの……
私が手伝わなかったら逃げてたよね、これは。

息抜きにカメラの映像を見ると、ロボロとエーミールは国民に囲まれていた。
ついていかなくて良かった。もしついていっていたら…きっと視線が痛い。

幹部として正式に発表された訳では無いし、シャオロンの親戚ってことになっているから、別の幹部と一緒に居たらそれはもう面倒なことになる。


『……ん、』

今日もこの国は平和だ。
戦争をしていたのにもかかわらず国民がこんなに普通だというのは滅多にない。

皆笑顔で、楽しそうで、幸せそうで。
ウルカは、どうだっただろうか。

あの国の記憶は少しずつ薄れていく。
時間が経っているから仕方がないことだけど。
…でも、嫌だな。

前に帰った…いや、訪問した、けど。
もう私の国じゃないから気にする必要はないって分かってるけど。


私の根は彼処にある。
それは今も昔も、未来もきっと変わらない。

離れても心は離れられてないんだよね。
……こんなんじゃ、何も出来ない。

例えば、我々国とウルカが戦争をするとなったら、私はどうすべきなの。
幹部としてすべきことをするのか、それとも。
どっちも好きだし、大事だから選べない。


「A、」

こちらを窺うような声色。
聞き間違えない、トントンの声。
何気ない顔をして振り返った__つもりだった。


tn「…どうした、」


困惑。
当たり前だよね、だって私___









.









____知らぬ間に、泣いてたんだから。



『失礼します。…すみません、此処、頼みます』


固まるトントンの隣を通りすぎる。
誰もいない場所へ。

独りにさせて、お願いだから。

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作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時

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