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いつから、私は彼らを仲間として認識していたのだろう。ずっと前からのような気もするし、ごく最近のことのような気もする。
やっぱり、心の何処かでは頼ってしまっていたのかもしれない。…駄目だ、今は考えてる暇はない。
少しだけ希望を込めて、ヘーベアンに向けて言葉を発する。
『先程、貴方は「私がここに居ることがなによりの証拠だ」と仰いました』
「そうだな、その通りだ」
『では、貴国でも同じ状態だとしたら、どちらが戦勝国となるのでしょうか?』
「……まさか、」
根拠はないけど、ね。
グルッペンならやってても可笑しくない。
時間は作ったんだし、それくらいはやってて貰わないとこっちの努力が報われないよね、ってことで。
「そんなはずはない、侵入されたという話は出ていない。…負け惜しみを言ったな、A」
『もしそれが、こちらで操作した情報だとしたら、負け惜しみとは言い難いのではないでしょうか』
「御託を並べおって……お前の話は、証拠がない」
証拠…探せ、探せ。
ヘーベアンを黙らせる証拠を。
「…残念だったな、こちらの勝ちだ」
『「それはどうでしょうね」』
最後の足掻き…そう思っていたのに、私の声と誰かの声がシンクロする。
上から降ってきたその人は。
『トントン、さん』
tn「これを見ても、そう言い切れるんです?」
「それ、は、」
本来玉座の間とか、国のトップが居る場所に在る国旗。
トントンは、それを持って帰ってきた。
tn「残念ながら此方の勝ちです、さっさと降伏した方が良いですよ?」
今、条約に調印中ですし、と付け加える。
少しずつ青ざめ、俯いていくヘーベアン。
『これ以上の抵抗は見苦しいですよ、ヘーベアン様』
「…っ!!」
弾かれたように顔を上げたヘーベアン。
その目は見開かれていた。
「…馬鹿だな、俺は。」
少しだけ間を空け、ぼそりと呟く。
そして私たちに気がついたかのように此方を見る。
「形だけとはいえ、尊敬を込めて名前を呼んでくれる人がいた。…それだけなのにな」
『貴方は、救われたかった。此処に来たのも、自分の運命、役割から逃げたかったから。……違いますか?』
「仰る通りだ。苦しかった。いつしか周りの目が俺を責めているように見えてきたんだ」
今更ヘーベアンの境遇を知っても何も思わない。
…でも、気になることがある。
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作者名:黒猫 | 作成日時:2018年9月13日 22時