とある国の元書記長は非現実的な現実に遭遇しました (ページ11)

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“拝啓ヘーベアン殿

お久しぶりです,Aです。
無事に我々国に到着したことを報告致します。
お世話になったことへの感謝の品だと思ってくだされば幸いです。

ところで,貴方のことですから現在戦争中の国についてはご存知かと思います。

それに関連して,我々国の立場が苦しくなってきてしまい,私からこのようなお願いをすることが失礼なのは承知しておりますが、1つだけお願いをさせていただければと思います。

我々国に,宣戦布告をして頂けないでしょうか。

勿論ただの“お願い”ですから,無視して頂いても結構です。ですが,貴方が以前仰られていたことを考えれば,絶好の機会かと思われます。

貴方が乗ってくださることを信じています。

我々国総統秘書,A”

ヘーベアンはきっと乗る。
わざわざ戦争を仕掛けようとしている国に宣戦布告してくださいってお願いしたら、ねぇ？

多分普通の国家なら戸惑うけれど、彼なら罠だとしても宣戦布告する。

それが、ヘーベアンという人だから。

これを速達で送れば、多分すぐに宣戦される。
察しのいい三強は素早く対応する。

うん、それがいい。

＿＿＿

gr「…来たか」

翌日、グルッペンに呼び出された。
用件は分かっている。

『宣戦布告されたようですね』

gr「…知っていたのか？」

私の回答が予想外だったのか、少しだけ目を見開き窓の外を眺めるグルッペン。

『それで、どうなさるおつもりですか』

gr「受けて立つ。それに、」

『…それに？』

gr「いいタイミングで宣戦されたことに感謝だな」

そう言い、インカムに触れる。

gr「全員、戦争準備」

やっぱりこの人は、戦争が大好きなんだ。
戦争を愛し、戦争に愛されている。

そうとしか言いようがない。

だって、笑ってるから。
心の底から、楽しそうに。

gr「悪いが、外してくれ」

言われなくてもそのつもりですよ。
少しだけにやけた自分の顔を見られないようにすぐに出ていく。

ありがとう、って後で伝えておかないと。

…で、次の手を考えよう。
きっと私は足手まといになる。
だったら裏方に徹するのが無難だよね。

それで迷惑を掛けたとしても、後悔する結果になったとしても、それでも。

それが悪いって分かってる、けど。

見ているだけじゃ、満足できないから。