とある国の元書記長は非現実的な現実に遭遇しました (ページ6)

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「ほら、お迎えだ。」

ヘーベアンと私とグルッペンの3人は、城の屋上に来ていた。
オスマンが乗るヘリが着陸、オスマンがこの国に降り立った。

gr「本当に、お前は来ないんだな?」

最後に、もう一度訊いてくる。
形だけ訊く、というのが正しいかもしれない。
私が戻らないことを知った上で、最後に何か起こるかもしれないという微かな期待を込めて。

『…ええ。』

だからこそ、その期待を裏切る。
期待を裏切って、新しい約束をする。

『ですが、必ず戻ります。』

その約束から生まれた期待に応えるかは私次第。
でも守るよ＿＿＿＿必ず。

gr「そうか、なら心配無いな。」

それだけ言い、ヘリに向かうグルッペン。
心配無い、か。信頼されているのかな。

だったら、信頼はされて損はない。

『それではお話ししましょうか、国のこと。』

「真面目だな、約束を守るとは。」

『私が約束を破ったら彼が死ぬので。』

彼、とはグルッペンのこと。
我々国に観光客が来ていないとは限らない。

つまり、彼の命は私が握っていると言っても過言ではない。
死なせないためにも、契約は守る。

「…少し前から気になってはいたが、」

『はい?』

「お前の行動源は何なんだ。」

私の、行動源……?

「他人の為に動いているようにしか見えない。今回だってそうだ、お前にとって不利な条件を提示したのにも関わらずグルッペンが助かるのなら、という理由で動いただろ?」

『そうですね、貴方のことは悪魔だと思いました。』

「そう思ったのなら、関わりたくないとも思ったはずだ。なのに何故、お前は。」

『そんなことは、貴方には関係ないかと。』

思わず冷たい口調になってしまった。

関わりたくない、…思ったけれど。
グルッペンだけじゃない、コネシマもひとらんらんもショッピもゾムも、私の一声で、一行動で生死が決まった。

誰だって、国の幹部5人の命を救えるってなったら救う。私のように、彼らと関わっている人なら尚更。

『それよりも、早く終わらせましょう。』

「…そうだな。」

行動源なんて、考えたことがなかった。
…考えない。今は、彼からの質問に集中しよう。

そうして国に戻れたら、ゆっくり考えよう。