【d!】社畜は今日も配信をしてる

ガチ恋リスナー ページ16

shoside




始まった。俺と、彼女の物語が


ようやく。ようやく始まるんやな。
長かったわ。途中で何度彼女を襲おうとした事か

…俺は、彼女のリスナーや

それも、『ガチ恋勢』に分類される。




俺が初めて彼女にあったのは握手会の時だった

顔はパネルで隠されており手を握り、会話が出来るというもので。

ほんの、ほんの数十秒やった。

けど、俺には今までで生きてきた中で1番長い時間やってん。


『あ、どぉも〜って、めちゃめちゃ可愛い子だ！』
パネル越しに聞こえる声。
俺だけを見てくれている実感。
それだけと胸が張り裂けそうになった

「あっぇ、ありがと、ござい、ま…」
とても、とても小さく呟いた声なのに

『え、男性なの!?!?なんでそんな可愛いの!?!?』
なんて数百倍の声が帰ってきた

『んえ、見た目ちょー美少女なのにイケボだ！困惑！』
なんてハイテンションで返してくれるA
めちゃめちゃ、嬉しくて、
幸せででも女に勘違いされた事は複雑で…

「…髪、切ったらどう思いますか？」

『んん？今の君もめっっっちゃくちゃ可愛いけど、きっとイケメンになると思う！めちゃ似合うと思うよ〜!!!!!』

パネル越し、顔を見なくてもわかる。
彼女の笑顔が。


たとえそれが営業スマイルだとしても
胸がドクンドクンと跳ねる。

好き。好き。好き。

まだ、やわこい感触が…手に残っとる。



この手……絶対洗わへん……。

なんてガチ恋を決め込んでいた俺やった


が。ガチ恋には難点がある。


それは異性の配信者とコラボすると凄く妬いてしまうこと。

彼女と、俺とは天と地の差がある。そんなの分かってる

けど、どうしても、その笑顔を俺だけに向けて欲しくて





俺だけに、好きって言って欲しくて。






なぁ…お願いや…俺を、見てや……


おれ、がんばってんで？


やから…なぁ。





おねがいや…オタクに希望をください…


そんな俺の思いが届いたんか
今日という日がやってきた。

第一印象は、『綺麗』やった。
背はちっこかったり、立ち振る舞いは愛らしいし可愛いのに見た目は、美人、やった。

そんな人と会える、なんて



俺に希望があるって、思ってまうやん？


今日だって、

俺の『大好きだからやめて』

なんてコメント拾ってくれたやん。



なぁ、



好き、ほんまに好きなんや。


やから、

後をつけても、ストーカー…なんて事言わんといてくれや♡

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