先輩が隣にいる世界 (ページ7)

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A「人を感動させるのは、どこか本当にありそう、という感覚なんですよ。おばあちゃんやおじいちゃんから見ても、小さな子から見ても、「どこかありそう」だからゆめに見ると私は思います」

トントン「なんか、会わないうちに成長したなぁ。当たり前か」

確かに、昔はもっと文学的な作品を目指していた気がする。いよいよ先輩に読まれた本のタイトルが気になってきた。

A「ところで、先輩に会ってなんとなく再確認できたんですが、」

トントン「話がころころ変わる奴やな！まぁええけど」

しばらく放置していた氷が音を立てる。

良いタイミングじゃないか、と空気を読む氷に感謝。

A「私は、先輩のこと、まだ好きなんだなぁ」

この人との空気感はいまだに変わらず、ふと感じたことだったんだけど。

思ってみたよりもすごいことを言ったのかもしれない。

いつもすぐに返答する彼が、言葉に詰まっているからだ。

A「あの、期待なんて徹頭徹尾してないんで…」

あ、あれ？いや先輩そうじゃなくて。

本当に、私は純粋に言っただけで。

もう自分が書いている恋愛なんて、５年前くらいに捨てているから、「ああそうか」でいいんですが…。

トントン「前田？」

A「はい、あの、先輩」

トントン「…逆に聞くけど、お前はなんでそんなに期待をしてないん」