6-3トントンside ページ24
トントン「あいつとは高校で会ってん。もう、なんであの教室に行ったかは覚えてないけど、一冊のノートが置いてあってん」
ゾム「へぇ、見たん?」
そう言われ、言葉に詰まりながらも頷いた。
トントン「『読むな』ってノートに書いてあったら読むやろ」
ゾム「へっ…」
ゾムは驚きとも、状況を理解しきれていないという表情とも取れるような顔をした後、噴き出した。
ゾム「どういうこと、それ」
トントン「意味わからんやろ?俺も思って、読んでみたら、面白くてさ」
世界観は、こことほぼ変わらない。
けれど、ホームレスの主人公にはちょっとした能力、みたいなものが備わっていた。
彼は、鳥に触れると、鳥を花びら1枚に変えてしまう、なんて不思議な能力だ。
他の生物は何もないはずだった。でも、彼はここ数十年他の生物に触れたことがなかったのだ。
他のホームレスとは違い、餌やりもできない。
朝起きるとよく自分の周辺に何枚かの花びらが横たわっていた。
その度に、自分の能力を恨み、綺麗に舞う赤やオレンジ、水色の花びらに絶望していた。
ゾム「…高校生が書く物語とは思えんな」
トントン「それで、そのおっさんが一人の少女と会うシーンで、前田が教室に戻ってきてしまった」
ゾム「おい前田ぁ!」
読みふけって下校時刻に気付かない俺も俺やけどな。
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作者名:岡山 | 作成日時:2016年7月30日 12時