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窓を覗くと、流れる暗いトンネルが見える。

反射した自分の顔は疲れ切っていた。

先輩も私に釣られて振り向いた。窓越しに目があう。

ただ、目があったのは一瞬で、自分の地元の駅が見えた。

A「私ここです」

トントン「相沢ちゃんの方が遠かったんやな」

トントン先輩が私よりも先に立ち上がる。ほら行くで、と手を差し伸べられた。

A「すみません、トントン先輩」

トントン「今更やろ。ほら。相沢ちゃんも帰り道気をつけてな。何かあったら俺にでも連絡して」

「あ、お疲れ様です。前田さん、お大事に…!」

ありがとうございます、と頭を下げて、トントン先輩の腕に掴まる。

先輩が、笑顔で相沢さんに手を振った後、私を先導してゆっくりと電車を出てくれた。

電車に入ろうとした人が避けてくれる。

トントン「お前にはトラブルメーカーの才能が備わっている気がする」

A「そんなつもりはないんですが、実際そうですよね…あーあ」

トントン「何歳になっても放っておけんやーつ」

いつもの無邪気な笑いというよりも、乾いた笑顔をさらりと出した。

A「じゃ、じゃあ、10数年前のお礼も合わせて、うちにあるアイスをいくらでも持って帰っていいという権利を授けます!」

トントン「いらんわ!そんなことよりさっさと怪我を直しなさい」

A「あぁなるほど。ありがとうございます」

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作者名:岡山 | 作成日時:2016年7月30日 12時

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