十七頁目 ページ20
＊宮香＊
Aside
医務室は案外分かりやすい所にあり、僅か数分でたどり着くことが出来た。
手からは鉄臭い臭いが漂って、
鼻血のときみたいに気持ち悪いので、早く手当てをしてもらいたい気持ちでいっぱいだ。
『……あの、』
手が使えないので声を掛けてみるが、返事は一向に返ってこない。
……どうしよう。
このまま帰るわけにもいかないし、立ち止まるわけにもいかない。
グルッペンさんの所へ向かう？
………いや、駄目だ。居場所が分からない。
・
右往左往しているうちに、私は後方に人の気配を感じた。
兄「おい、何してるんや」
少し煙草の臭いがする、兄さんだった。
『け、怪我をしてしまって』
私が慌てて状況を説明している間、彼にずっと睨まれていた。
何て言うか、怖くて、申し訳なかった。
兄「ふーん。じゃあ、俺の部屋で手当てするから来て」
『……いいんですか？』
兄「はァー……、
良いもなにも、これ以上悪化すると厄介やろ？」
『そ、そうですね』
それから、部屋に向かうまでは鋭い視線を向けられていて、
私は……足元しか見ることが出来なかった。
_____
・
兄「よし、これでええやろ」
出血も無事止まり、柄つきの可愛らしい絆創膏まで貼ってもらえた。
にしても、どうしてこんな女物の絆創膏を彼が持っているのだろう？
勇気を振り絞って聞いてみることにした。
『ありがとうございます。
あの、どうしてこんな女物の絆創膏を持っているんですか？』
兄「あぁ、それは大先生からのもらいもんやで。こんなん要らんのに、俺に押し付けて…」
やはり、鬱先生は女癖が悪いのだろうか。
皆さんのお話から、着々と鬱先生が女たらしというイメージが出来上がっていく。
兄「ん、もう昼食が出来上がってる頃か。
心配するやろうし、急いで行こか」
………あ、笑った。
私に向かって、ほんの微々たるものだけど笑ってくれた。
不器用な笑い方だけど、
すぐ真顔になっちゃったけど、
私のことを考えて笑ってくれた、なんて考えると心の中の笑みが溢れ落ちてしまいそうだ。
部屋の窓に差す光は、さっきよりも眩しく、暖かく感じた。
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宮香(プロフ) - Apricot02さん» あぷりん！！コメントありがとう！頑張るね！w (2016年11月17日 19時) (携帯から) (
レス) id: 52f2921e66 (このIDを非表示/違反報告)
Apricot02(プロフ) - 面白いです！これからも更新がんばってくださいね(* 'ω')ﾉあと、お気に入り100人おめでとうございます (2016年11月17日 18時) (レス) id: 6a83ea3325 (このIDを非表示/違反報告)
宮香(プロフ) - まっすーさん» コメントありがとうございます！(｀・ω・´)笑って頂けて幸いですwこれからもよろしくお願いします！！ (2016年11月5日 18時) (携帯から) (レス) id: 52f2921e66 (このIDを非表示/違反報告)
まっすー(プロフ) - UFOに乗せてもらえば良かったって大先生…w不意打ち過ぎたw (2016年11月5日 18時) (レス) id: e7189ac219 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 桜風瑠璃さん» おー、桜風ちゃんありがとう！いつもコメントくれてありがとうw続き、楽しみにしててくださいね！ (2016年11月3日 20時) (レス) id: 36e773549b (このIDを非表示/違反報告)
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