ドラジェ・ブルー/knsm ページ10
「てかシマ香水かなんか付けてる?」
「おん?いや、なんも付けてへんけど。」
「そう?なんか檸檬みたいな匂い……。」
「あー、部室でサッカー部の奴らにぶっかけられたスプレーみたいな奴の匂いやな。」
「何それ。」
「……お前剣道部なんだからもっと気にした方が良いと思うで。」
失礼な。ちゃんと汗拭きシートで身体だって拭いてるし、手も念入りに洗っているというのに。
そんなに臭い?と眉を顰めて聞いてみれば、慌てて首を振る。どっちなのか分からないんですけどコネシマさん?
「……ま、俺は別気にせんけどな。」
「……何それ。」
「別にお前がどんな匂いでも気にせん言うてるんやって。」
何それ、何それ。そんなの落ちるに決まってる。どんな必殺技?強すぎる。対処法なんてどこにも見当たらないじゃないか。
顔に熱が集まっていき、次第に俯きがちになってしまう。やはり、女の子らしくないから、なんて諦めようとしていた恋は、諦めきれていなかったらしい。
チョコミントアイスの袋を鞄に押し込んで、斜め前の彼の背中へ視線を移せば、筋肉質な背中、汗が滴るうなじ、少し明るめの髪色。
その一つ一つが魅力的に見える。ああもうダメだ、絶対まじまじと見ちゃいけないよ、これ。
「さーて、早く帰って俺の家でゲームするぞ!」
「やっっだもうコネシマ君お盛んなんだから」
「やかましいわ!」
きっといつか、彼女として隣に居たいって、伝えて見せるから。だからその時まで、隣は空けておいてね。
勝利の恋は自分で掴みとるんだ、そう心に誓い、走り出した彼の背中をまた、追いかける。
──蒼い空は、炎のように熱く燃える夕焼けに溶け込んでいった。
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