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ファイアー・ブライト/tntn ページ25
テレビ画面に釘付けになったAに一声添え茶を差し出すも、
「うん、そこ置いといて」
そんな他人行儀な態度に自分だけ違う世界観にいるのでは、なんて馬鹿な錯覚をしていた。テレビから聴こえる、どっと湧く笑い声に彼女も釣られて控えめに笑う。俺には冷淡に、テレビには可愛らしい笑い声を聞かせて。
__そういうの、妬くに決まっとるやんか。
「……こっち向いて」
「え、なに__んっ!」
触れるだけでも擽ったいさらさらの髪を支え、構わず唇を奪う。彼女は瞬きをする間も与えず、その小さな頬を真っ赤に染めていた。
「大好きや、A」
初めて伝えられた想い、初めて呼べた君の名前、__初めて見た君の幸せそうな顔。
胸が力尽きてしまいそうな動悸のことよりも、何もかもを忘れ、幾度も幾多も君の紅い唇にキスの雨を落とした。その度に君ははにかんで、俺の心を鷲掴みにする。
「もう私は、トントン色だね。
__心も、何もかも全部が」
ああ、もう胸の鼓動が続かない。
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