カリーニョ・ピンク/rbr ページ3
どうしよう。
頭がぐるぐるぐると回って、でも答えは一切出ない。流星で頭が割れる。
目の前に出た結果を受け入れきれずにトイレから出る。ふと鏡を見ると、酷い顔をしていた。
家までの道すら、どこかおかしいように感じる。でもこの足はきちんと家へ進んでいく。どうしようも無い不安に駆られる。今まで平然とそこにあった道が崩れた。私は、どうすれば、正解なの?
「A今日遅かったなー」
扉を開けるとリビングの方からロボロの声が聞こえた。働かない脳が、耳からこぼれ出そうだった。
「……A?どしたん?」
玄関で固まって動けなかった私に近づいて、彼は首を傾げる。
色んなことを考えて、色んなことで頭がいっぱいになって。いっそ破裂してしまった方が楽な気すらした。
「ぁ、の、」
声がうまく出せない。何でこんなことになってしまったのか、私も、よく分からない。助けてほしい。助けて。
「子供が、できたの」
彼の顔は、見る見るうちに歓喜に染まった。嬉しそうに私の頬を包む。優しく、優しく。
「それなら!もう!家から出たらあかんからな!」
もう、逃げられないように。
「仕事も全部やめて、俺とこの子のためだけに生きて!」
笑うしかなかった。彼がこんなに狂っていなければ、私はこの事実を、素直に喜べたのだろうか。
今はもう、そんなことも、分からないが。
彼に抱きしめられながら、圧死したかった。
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