アイボリー･ブラック/grpn ページ17
.
「……先輩、今ちょっといいですか？」
さっきの休憩から何時間か。ようやくとれたお昼休みに、先輩を呼びつける。お話はもちろんさっきの事。個人的に気になる部分もあるし、言いたいこともあるし。
調子乗ってるかなぁ、とは思ってる。もし勘違いだったら職場で生きていけない気もする。でもなんだか、これは隠しちゃいけない気もする。
「……せっかくのお昼休み潰したのはごめんなさい」
「……急にかしこまってどうした？」
「いや、その……あの、」
……まずいぞ。いざとなったときに何も言えないチキン的な性格がここに来て作動し始めた。でも負けるか、と口を大きく開く。
「仕事やってくれて、ありがとうございました！！ これからもこんな事あったらよろしくおねがいします！」
……やらかした。これでもう言うなんてことはもはや公開処刑的なものじゃないかな。急に大声を出されたからか先輩は驚いたのか。
「……あぁ、なるほど」
「どうしましたか先輩！！」
もはや若干ヤケクソになっているんじゃないか、そう思っても仕方が無い程度の返事をして、今回言うのを諦めた。まぁ次があるよ、次頑張ろう。そう自分に言い聞かす。
「本当に言いたいことは、もう少し待ってくださいよ」
「……おう」
「私、こう見えて照れ屋なので。言えないこととかいっぱいありますよ！」
例えば？ なんて聞いてくる先輩。この人はやっぱり性格が悪いな。昨日じゃなくても何週間か前なんて……
これ以上続くともはやある種の大会みたいになるから辞めておこうか。開きかけた口を閉じる。
「……まぁ、待っとるわ」
「……！！ はい！」
絶対予想もしていないだろうな、と心の中で悪い笑い。何回も馬鹿にされてきてる分、絶対今度はこっちから馬鹿にしてやる。
そう宣言しながら、結局毎日こういうハメになるんだろうな。簡単に想像できる。
「……次、次に絶対いいますね！」
いつか絶対言うから、待ってくださいね先輩。
ミッドナイト・ブルー/utu→←アイボリー･ブラック/grpn
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
