カリーニョ・ピンク/rbr ページ2
子どもを何と見るか。
二人の愛の結晶か、性行為の副産物か。神からの贈り物、かもしれない。
私はそれらを受け入れる。確かに、ロマンチックなことを言えば、愛の結晶であり贈り物だ。現実的に、冷たくいえば副産物である。
ただ私は、絶対に、人を繋ぎとめるための鎖だとは、思わない。
むく、と起き上がる。事後特有のけだるさ、とでも言うのだろうか。体全体が何だかだらしい。
まだ寝ている彼。すやすやと幼い顔をして、私の隣で丸まっている。時々、んん、と声を洩らしては目を擦ったり。
これだけ見たら、可愛らしいのだろうけど、と少し笑う。
とりあえずシャワーを浴びようとベッドから降りる。
「……A?どこいくん?」
するり。いつ、気がついたのか。いつから、私の手を捕らえていたのか。ロボロの手が私の手首を握る。寝起きとは思えないほどの、力を込めながら。
「シャワー、浴びるだけだよ」
「だめ」
「……」
目が、私の脳みそを刺す。何処か色を孕んだその眼差しに、私が弱いこと、知ってて、やってるんでしょう。
ぐい、と引き込まれまたベッドに沈む。後ろから抱きついてくる彼の声は、粘着質な何かを含んでいた。
「俺の子、孕むの、嫌なん?」
子宮の上、その肌を押される感覚がした。まるで私に生めと迫る子供が、本当にいるような。
頭がくらくらする。思考が破壊される。刺す、刺す、刺し殺す。
「俺はAとの子供、ぜーーーったい、かわええと思うけどなあ……」
そんな甘い言葉叩いたって。心の中で悪態づく。
私は知ってる。貴方は所詮子供を私の首輪程度にしか思ってないこと。ふわりふわと飛ぶ私を引き止めるためだけに、貴方は、孕ませようと、してるんでしょう。
「Aにはな、家で、子育てしてもらいたいわ」
「……そう」
「やからもう外出ちゃ駄目やで?」
明るい声で、おぞましい事を含むんだから。本当、……。
「そんな話してる場合じゃないでしょ。今日仕事なんだから」
「あーはぐらかしたやろー!」
「ロボロもほら、起き上がって」
はぐらかすしかないじゃない。
靄のようにまとわりついたその言葉は、なかったことに。
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