1-3/U side ページ4
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「で、なんで呼び出されたの、おれ」
『飲んだはいーけろ………車で来てたの気づいてぇ、』
相当飲んだのだろう、べろべろに酔った彼女はうつらうつら、意識をどうにかもたせつつ喋る。
「俺は運転手ちゃうんやぞ？」
『うーん、そかも？』
「うーわっ」
そのまま意識を飛ばして机に突っ伏す彼女を一瞥して、溜め息。
「あははは、今日もですか？」
「はぁ………」
毎回ここで阿呆みたいに飲む彼女と、毎回迎えに来る俺は、既に顔見知りとなっていた。
「じゃあ、帰りますわ。お金は……」
「あ、もう彼女が払われてますよ。いつも悪いからって、今日はお先に」
「あ、そうですか………ほな、どうも」
「ありがとうございました」
彼女のポケットから車のキーを取りだし、慣れた手つきで彼女を助手席に
「(ったく、毎日やってる俺の身にもなってほしいわ)」
ゾムが彼女を、否、お互いを気にしているのに気付いてから、少しだけ相談に乗っていたが、その見返りがこうである。
「おーい、A」
『うええ…………』
「飲みすぎやろ。ほら、」
手を差し出して、肩を貸す。ふらふらした足取りのまま、彼女の部屋に送る。
「じゃ、俺はこれで」
『せーんぱーーーい！相談乗ってくださいよぉ、』
「今日はあかん、ゾム待たせてるから」
明らかにぴくり、と反応する彼女。ゆっくりとこちらを見る視線と表情は、女の子やなぁ、と気づかされる。
『先輩ずるいですね』
「素直になればええのに」
『………頑張ります、』
あれ、珍しい。飲んでるから少しだけ素直になってんのか。
「じゃ、また」
『先輩、ありがとでした』
「………ん、」
きっとゾムはこのことを知らないだろう。隠しているわけではない。言う機会が中々ないだけだ。
言い訳がましいか、俺。
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作者名：もんぶらん | 作成日時：2017年6月27日 12時
