死神のいる街へ潜入捜査

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【萩原side】
聴覚障害を持つ人が避難誘導に取り残されたと言うことで案内された先には、中高生ぐらいの女の子が立っていた。

周りの奴らに促されて振り返った彼女の紺の瞳と目があう。

彼女は俺を見るとホッとしたような表情をした。

読唇術が使えるとのことなので、はっきりと口を動かしながら現在の状況を伝える。

ついてきて、というと頷いてきちんとついてきてくれる。

スマホの着信音が鳴った。……じんぺーちゃんじゃん。

っと、耳の聞こえない彼女はそのまま進もうとしたので手を引いて電話に出ることを伝える。

コクコクと了承した彼女には口元が見えないようにスマホを耳に当てて電話に出る。

耳の聞こえない子の避難誘導をしていることを伝えていると、

「ーーっ？！」

突然の爆発音と足元の揺れ。

スマホを放り投げて彼女を庇う姿勢になる。

意図を察した彼女は、俺の頭と首元を守るように手を回してくれた。

(あ、やばーー)

強い衝撃に脳が揺れ、意識が飛んでしまった。

【you side】
無事萩原さんがきてくれたことにほっとし、彼の指示に従って階段を降りていく。

途中、腕を掴まれて止められ、電話に出ることを告げられ、そろそろ爆発することを察知した。

数秒後、足元が揺れる。

萩原さんが私を庇う体制になったので、申し訳程度だが私も彼の頭や首元を守る。

あらかた揺れが治ったが、萩原さんの意識が飛んでいる。

私は萩原さんを盾にしたようなものなので無事なのだが……瓦礫に周りを囲まれていて身動きが取れない。

周囲に視線を巡らせると、萩原さんの投げたスマホの画面が光っていることに気がついた。

(……松田さん？電話がつながってるのか。なら)

カバンからタブレットを取り出し、文章を打っていく。私の荷物は全て無事だった。

【現在位置 5.5階 階段踊り場 男性 気絶】

よし、とりあえずこれで松田さんがきてくれるはず。

萩原さんは起こすべきか……？頭に怪我をしたわけではなさそうだし、気絶してるだけだから松田さんに運んで貰えばいいか。

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