【男主】変わった新入り【wrwrd】 (ページ8)

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第５話 / ゾムside ページ8

…自分から誘っといてなんやけど、ここじゃあかんよな

流石に場所変えなきゃ

あ、ついでにトントンにLINE送っとかな

そう思い、俺はスマホを取り出すとLINEのアプリを開き、トントン宛に送る

その行動をしてからスマホをポケットにしまい込み、彼の目を見てこう提案した

「ここやとなんやし、場所変えよか」

そう言うと、少し考えるように間を空けてからこくりと頷く彼

…正直に言えば可愛い、なんて本人には言えないな

身長差もあって余計に可愛さが増している

…俺、何考えてるんやろ

．

ファミレスのような店の前にいる俺達

入ろうかとも言わずに俺が中に入っていくと彼も大人しくついてきてくれた

傍から見れば親鳥を追う雛鳥のような感じ

店員に案内された席に着くと俺達は素直に座ったが、暫く話もせず静かだった

というか俺が何を話せば良いのか分からんかっただけやけど

「…それで、何で僕なんですか」

先に沈黙を破ったのは彼だった

何で、か…

まぁ確かに俺みたいな知らない人にあんな事を言われれば気になるわな

少し間を置いてからぽつりと語り出す

「…今日、あんたとすれ違った時、思ったんや。この人を仲間にしなきゃって…何か使命感に駆られて…ごめんな、急に」

フードの影で隠れた顔を下げてしょんぼりと見せる

「……別に、構いませんよ」

ふいっと顔を逸らして言う彼はそのまま続ける

「…でも、僕なんかを入れても楽しくないですよ…？」

「そんな事ない！俺の仲間、皆ええ奴ばっかやし！絶対大丈夫やって！それに俺がついとるし！」

本当の事ではあるが、言い切れるという根拠はない

「…そもそも、僕も貴方も初対面で、お互いの事よく知らないのに、よくそんな事を言えますね」

「それは…」

「…僕、人をあまり信用出来ないので…お誘いはご遠慮します。失礼しました。」

そう言うと彼は席から離れ、急いで店を出ていく

俺は言い返せずそのまま席に座ったままだった