短編集の主役も我々だ？ (ページ36)

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A目線

それから、彼との生活が始まった。

彼は今までコツコツと貯金してきた。が、
ある日、彼の人生を大きく変える出会いがあったらしい。

女の子に一目惚れしたと言うのだ。つまり、私に一目惚れしたらしい。

zm｢でな、俺はあの時はAの名前も確認せずに、帰ってもうてな？｣
A『ふふ。そうなんだ…』

ダメだ。やっぱり作り笑いとか、愛想笑いしかできない。

zm｢なんか無理しとる？｣

この一言で私の何かが切れた。

A『!!…そりゃそうでしょっ！？知らない家に連れてこられたかと思ったら、暴力されて、反抗したり、機嫌を損ねたら、また私に暴力！もう、嫌なの！』

zm｢そうか…今までごめんな。｣
A『！帰してくれるなら通報は…』

しないから。
その5文字を言おうとした瞬間だった。

zm｢暴力嫌やったんか…他のにしよか…｣
A『は？』

zm｢よし！変えるわ！手法！｣
A『帰してよ。もう、嫌なの…こんな生活。』ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

A『うぅぅぅ…』ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

情けない。でも、もう我慢の限界だった。
知らない男と2人で住んでて、しかも、暴力ばかり。
帰れると思ったら、この通り。

zm｢！！もうやって欲しいんか？わがままなお姫様やなー！かわええからしたるわ！｣ﾁｭｯ
A『ん！？っ！！んっ、…んぅ！』

途中に聞こえる水音も、自分の甘い声も、自分の口から溢れ出る、私の唾液と相手の唾液が混ざったものも、気持ちいいと思っている自分も、全部、全部が嫌だった。

10秒？30秒？…それよりも長かったのかもしれない。

A『はぁ、はぁ。ふ、ファースト、き、すだったのに……ｸﾞｽｯ…ｸﾞｽｯ』
zm｢良かったやん！ファーストキスが俺で！｣

zm｢痛みじゃなくて、快楽の方がええかな、って思ってな！｣
zm｢ほら、もっと気持ちいいことしよな。｣ｽｯ

ﾊﾟｼｯ

A『触らないでよ！』

zm｢まだ抵抗するん？ﾊｱ、じゃ、ベットいくかっ！｣ﾋｮｲｯ
A『やだっ！離して！』

zm｢やーだ。｣

これから私は彼に汚されるのだろう。
だけど、心の底ではこの誘拐犯に｢愛されている｣という事実に喜んでいる自分がいた。