【wrwrd！】婚約者 。

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『あ、着いたね！』


「ほんとだ」



目の前に建っているのは木造の、普通のパン屋よりは一回り大きい店。ドアには"WELCOME"と書かれたプレートがさがっている。
ドアを引いて中に入るとパンの美味しそうな匂いが広がっていた






「いらっしゃいませ」





レジの方からそんな声が聞こえ、中にいた人からの視線が集まる。
え、なんでそんなにこっち見るの？と不思議がっているとその理由はすぐに分かった




「あの人めっちゃかっこよくない？」

「それ思った！隣にいるのって彼女さんかな？」




そうだ、私の隣にはシャークんというイケメンがいるんだった
視線が集まっている理由が私でないと分かると気が楽になり店内に足を進める





『あ、これ…』



「ん？なんかあった？」



少し店の中を見ているとあるものを見つけた
可愛いポップに"神出鬼没のカップケーキ"と書かれてある、とても可愛らしいカップケーキ
これ、グルちゃんが話してたやつだよね…





『グルちゃんに買って帰ってあげよ』


「そういえば、カップケーキがどうのこうの言ってたな。…俺もあいつらに何か買って帰るか」




美味しそうなパンを見て、「これきりやん好きそう」など言いながら選んでいる辺り、やっぱり幹部の人達が大好きなんだろう。微笑ましく思いながら私も美味しそうなパンをトレーに乗せていく





美味しそうなパンが多くてトレーには大きな山ができてしまった。まぁグルちゃんには多めにお金をもらってるし大丈夫でしょ。
一通りの買い物が終わったので少し離れた場所にいるシャークんの所へ歩いた




『私は終わったけどシャークんはどう？』



「ん、俺ももう十分かな」




そう言うシャークんのトレーにも私と同じくらいのパンが積み重なっていて、2人で笑いながらレジへ行く。レジではいかにも優しそうなお姉さんが笑顔で立っていた




「いらっしゃいませ！たくさんお買いになられてありがとうございます！お二人はご夫婦ですか？」



『ふ、夫婦！？』


「いや…その…」



店員さんの"夫婦"という言葉に顔が赤くなる
困りながら隣を見るとシャークんの顔も真っ赤で。



周りから見たらそう見えるのかな…
そう思うと何故か嬉しくなった


「あ、まさかプロポーズはまだでしたか！大変失礼致しました！お幸せになられてください！」



最後まで店員さんに誤解されながら店を出た。


なんだか喋るのが恥ずかしくて二人とも口は開かなかったけど、なんだか心地のいい沈黙だった

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