記憶【em】ケイワイさんﾘｸ ページ26
Aさんへ。
少し貴女とお話がしたくなったので、この手紙を書きました。
そうですね、今日は私の話を。
ある時私は、身を投げようと思っていました。
行き先は何処なのか、来世はどうなるのかなんて微塵も気にせずに。
ただ、何も無しに死ぬのは私自身もどうかと思ったので軽く遺書を書いたんです。
宛先は、自分の"記憶"です。
何のために自分は生きているのか、何故死にたいと思ったのか、死んだら次はどうするか、
なんて、書くことは幾らでもあるんですが
これがまた不思議で。
それを久しぶりに読んだ私は何の為に、どのように書いたのかを全く覚えていないんです。
ね、不思議でしょう？
本当であれば忘れたくても忘れられないくらいには重たい話のはずなのに、何故かそこの部分だけすっぽりと無くなってしまいました。
それから数ヶ月。私が死にたいと言う決意は変わりません。
精神の崩壊が始まったのか、もう殆ど毎日の記憶が曖昧になり抜け落ちて。遂には、一度足を滑らせて転落した事もありました。
するとどうですか。
何やら打ち所が悪かったらしく、脳に支障を来してしまい。
私は余命一週間と宣告されました。
こんなに面白い余命宣告のされ方は初めてですよ。
足を滑らせて落ちただけで残り一週間の命に変わってしまうなんて。
実に愉快だ。
まぁ苦しい思いをせずには済みましたがね。
わざわざ麻縄で首を括るぐらいなら、こうやって命の永さを決めてもらった方が楽ですから。
これで貴女も解ったでしょう？
人間の体がどれだけ脆いかということを。
そして何より使えない。
都合の良いことだけ覚えて後は忘れて。
過去の自分が何を伝えたかったのかが分からず仕舞いです。
Aさん、貴女はこれを読んで何を感じたでしょうか。
何よりも無駄な命の使い方をしたと思っているかもしれません。
けれどそれは愚問だ。
人には一つ命と言う核が支給される。それをどう使うかは自分次第。
けれど考えてもみてください。
私が失ったのは記憶ですよ？
そんな事に頭を悩ませて。それが拗れてこの有り様。
記憶なんてどうせちっぽけですよ。輪廻に還れば忘れてしまうのだから。
それを大事にして人生が終わるくらいなら、記憶に需要などない。
エーミール
基本ちっぽけなどと言う彼。だが、彼もまたそのちっぽけに縋りつく人間であった。
リクエストありがとうございました!
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Aの化身(プロフ) - 一つ眼さん» コメントありがとうございます。この作品はただ自分の体験談をメンバーに演じてもらっただけの物です。尊さに気付く事が出来た一つ眼さん自身が素晴らしいことです。同時に、そう気付けた貴方のお手伝いが出来て大変恐縮です。 (2020年3月8日 17時) (
レス) id: 5ef8288512 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 同じ文を2つ書いてしまいました。お手数ですが1つ消しといてください (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 下の続きです。 涙が止まりませんでした。命の尊さはこう言う事を言うのだなと思いました。Aの化身さん。私に命の尊さを教えてくれてありがとうございました。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - 下の続きです。 涙が止まりませんでした。命の尊さはこう言う事を言うのだなと思いました。Aの化身さん。私に命の尊さを教えてくれてありがとうございました。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
一つ眼 - はじめまして。いきなりですが私は命の尊さと言うものを知りませでした。でも、この小説を読んでやっと命の尊さを知ることができました。推しが死ぬのがとっても悲しくて。推しじゃなくても、苦しみや悲しみを我慢してきたけれど限界だったり。 (2020年3月8日 1時) (レス) id: 250339bac9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aの化身 | 作成日時：2019年1月13日 15時
