忘れることなんて ページ12
「Aさん」
ふと、トントンさんが口を開く
「どうしました？」
「……すみませんでした」
突然立ち止まり頭を下げるトントンさん
行き交う人達が何事かと視線を向けてくる
「ちょ、顔あげてください」
先に行った2人の様子を伺いながらもトントンさんの肩を起こす
「私は気にしてないので大丈夫ですよ」
「あんな置き手紙じゃなくて直接謝りたかったんや…俺はアンタに勢い任せに最悪なことを…」
「いやあのそれは…えっと…」
俯いて悔恨の念に駆られるトントンさんだったが、突然しどろもどろになった私を不安げな顔で見上げた
まるでトントンさんばかりが悪いみたいだ。
……私も謝らなければならない
「昨日はどちらと言えば私が悪いんです。弱ってるトントンさんの隙をつくみたいな事して」
「お恥ずかしい話、正直…飢えていた事もあったので私から襲ってしまって。その…お初、でしたよね？」
私の言葉にトントンさんは顔を真っ赤にした
やっぱり
「弱みに漬け込んでしまってすみませんでした」
さっきと変わって私が頭を下げる
あぁ、はたから見たら変な光景だろうな…なんて頭の隅で考えながらトントンさんの足元を見つめる
すると、ガバッと勢いよく体が起こされた
ビックリして目をパチパチさせると、赤面するトントンさんと目が合った。
「頭なんて下げんで。Aさんは悪くない」
「いやいや何を言うてるんですか。私が悪いです」
「いやいやいや」
「「…………。」」
肩をがっちりと掴まれ見つめ合うこと数秒
あまりにも互いに譲らなすぎて思わず吹き出してしまった
「んふふふ」
「んん、なんやねん」
ムスッとするトントンさん
よかった、もう不安げな顔はしてない
「昨日のことは、私たち2人が見た夢だったって事でどうですか？」
自分でも無理があることを言ってる自覚はある
「昨日は何も無かった」
自分に言い聞かせるように呟けば目の前の深紅が揺れた
「……んな…と」
「え？」
「そんなこと、できへん」
綺麗な深紅に光が指す
その美しい瞳と同じくらいに顔を赤らめた彼は力強く言い放った
「昨日のことを、無かったことになんてできへん」
瞳の奥に僅かな熱が見え、思わず身体が震える
胸がきゅうっとなり背筋がゾクゾクとする
どういうこと、と聞こうとすれば、先に行った2人から声がかかりトントンさんは歩き出してしまった
取り残された私は妙な胸の高鳴りに困惑するのだった
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おぼろどうふ(プロフ) - レグルスさん» こっちも見に来てくださってありがとうございます！tn氏も行け行けになったんでこれからはもっとデートとかするつもりっすよ！楽しみにしててください！ (2021年1月7日 16時) (
レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
レグルス(プロフ) - いいぞもっとやれ。個人的にはお出かけパートもまた見たい気がしてみたりw ちょっとしたリクエストです！投稿楽しみにしてます！ (2021年1月6日 22時) (レス) id: 46797e0a70 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - まめさん» shoの方に触れた方初めてです…！細部まで見てくださってありがとうございます！ (2020年12月31日 8時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - tnさんもいいけど、shoの太陽のような微笑みって言う文章最高すぎます！！！ (2020年12月31日 0時) (レス) id: e8a3698850 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - 鮭鍋eVentさん» おお！こっちの作品まで見ていただきありがとうございます！まだまだ萌えさすんでここで離脱はまだ早いぜぇ！？((キチガイ (2020年12月30日 23時) (レス) id: c248a8f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろどうふ | 作成日時：2020年11月15日 16時
