負けず嫌い zm ページ17
今日はゾムと付き合って1周年の記念日。
珍しくわがまま言ってデートをしてもらう。
普段は仕事も忙しく、お互い時間が取れない。
だから、こういう時だけでも、とついわがままを言ってしまう。
まあ、ゾムはいつも変わらず笑顔で返してくれるのだけれども。
実は無理していないか心配だ。
待ち合わせの噴水の前で、わくわくした気持ちを隠さず私は視線を彷徨わせる。
予定より15分早く着いてしまったのも、きっと気持ちが先走っているから。
5分ぐらいして、見慣れた顔を見つける。
相変わらず羨ましくなるようなスタイルとセンス。
それでいて私の大好きな。
ゾムはふわりと微笑んで歩いてくる。
隣に並ぶと、ゾムは口を開く。
「待たせたみたいですまんな」
それに私は笑顔で答える。
『大丈夫、そんなに待ってないよ』
2人並んで歩き出す。
車でデートもいいけれど、たまには一緒に街を歩き回りたかった。
可愛い服屋さんを見つけては、入ってみたり。
おしゃれな雑貨屋さんで、お揃いのキーホルダーを買ったり。
まるで学生時代みたいに。
お昼頃、可愛いカフェを見つけて入った。
ゾムはミートスパゲッティを、私はオムライスを頼んだ。
オムライスは卵がふわふわで、チキンライスは少し酸味がきいていてぺろりと食べられた。
ゾムから1口もらったミートスパゲッティも、トマトソースの酸味が肉をあっさりと食べさせてくれる。
お腹を満たしたところで、私たちはまた街を歩いていた。
私のお気に入りのアクセサリーショップを見つけたので、ゾムの袖を引っ張り店に入る。
「記念やし、好きなの買ったるで」
ゾムの言葉に対し、『悪いからいいよ』と断ればゾムは頬を膨らませる。
「お揃いのもん欲しかっただけやのに」
結局私はいつも通り負ける。
『じゃあ、お願いしてもいい?』
先程よりも弾んだ声でゾムは答える。
「もちろんや!何がええ?」
ちょっぴり小悪魔な心のまま、私は言う。
『チョーカーとかどう?』
変なとこで純粋なゾムには大ダメージだろう。
「この負けず嫌いが」
小さい声で言ったって聞こえてるんだからね。
『ふふ、どう?』
弾んだ心を隠さず、私は上機嫌に笑う。
(今回は私の勝ちってところかしら?)
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作者名:クラゲ | 作成日時:2017年5月6日 9時