【wrwrd】彼方へ辿り着く為 (ページ6)

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Text.6 - The strategist who acts secretly ページ6

事は先月。客の頼んだ料理の中からビニール片が出てきたことが全ての始まり。
店員に指摘して取り替えてもらったものの、その後の対応がいい加減だったのが悪かった。

見るに堪えない横柄な態度。腹に据えかねた当事者が本社にリーク。
行政指導が入った事で異物混入のクレームを隠蔽しようとした事実が明るみに出る。
公に知れたことで地元民からも反感を買うことになり、恵まれた立地にも関わらず客足が遠のいている。

商店街のコミュニティーがあまりに強大すぎたのも理由だ、仕方ない。
まあ、それも助力の一端に過ぎないのがこの事件の最大のみそなのだが。

何せ私の頼んだ料理(・・・・・・・)に混入していたっていうのが決定打である。さらば最大の脅威。

「ともあれ、ライバルが減った今が好機ですよ。そろそろ新メニューのプラン考えましょう」
「……お前さんも結構えぐい潰し方するよな、参謀」
「あくまで諜報活動のついでです、不可抗力です」

そろそろ店仕舞いの準備を……と、入り口の掛け札をひっくり返して、新メニューの催促をする。

「都会の端に佇む古き良き隠れ家ってのが売りなんだ、目新しさで釣ろうなんて野暮なこと」
「そういえば表の通りにおしゃれなカフェがオープンするって噂が」
「臨機応変に対応するのもトップの務めだな」
「ぶれっぶれですよトップ」

同業者に対してはこのビビりようである。謎。
……それより大事なこと忘れてる気がする。

あ。

「結局夢のことまだ意見聞いてないじゃないですか」
「えっさっきのじゃダメなん？」
「あれは意見じゃなくて感想」
「疲れてるわけではないと。それはそれで心配」
「もしや素の精神性疑われてる!?」

判断材料は揃っているが、いわゆるサイコ的なものではない、断じて。
しかし激甘ホットミルクを提案してくれる雇用姿勢には大変感謝している。