【wrwrd】彼方へ辿り着く為 (ページ2)

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Text.2 - Calm morning ページ2

テレビの電源を落とし、部屋を昼の様相に整えてからダイニングに向かうと、ちょうど食事を並べ終えたらしい管理人さんがエプロンを外していた。
慣れた手付きで折り畳み、椅子の背もたれに掛ける動作まで美しいなんていうのは、おそらくこの人以外ではそういない。

座って座ってと急かされるまま椅子に着くと、ふっふっふと大げさに笑う管理人さんの長いポニーテールが揺れて、恒例のメニュー紹介が始まる。

じゃーん！なんて効果音が付きそうな感じで両手を広げる姿は、毎度のことながら可愛らしい。

「今日は和食にしてみました。おかずが無かったので鮭を焼いたのです」
「やった、美味しそう」

白いご飯にお味噌汁、ほうれん草のおひたし、そして鮭の塩焼き。
テーブルの上に並んだ食事に反応して、さっそく唾液が分泌される。

管理人さんも向かいの椅子に着いたところで、二人手を合わせる。

「「いただきます」」

お味噌汁を一口飲む。内側から暖かくなるのを感じて、思わず嘆息が出る。おいしい。
鮭の身をほぐして口に入れると、絶妙な塩気が味覚を伝って旨味に変換される。ほんとおいしい。
飲み込む前に軽くご飯をつまんで、ゆっくりと咀嚼する。お米の甘さと合わさってさらにおいしい。
おひたしも忘れず食べて、やっぱりおいしい。海苔と和えられているのがもう最高。
満遍なく一周したので、ご飯を基準にしながら順不同にもくもくと口に含んでいく。

「ああ、美味しい」
「食べ始めてから美味しいしか言ってないよ」
「あれ……今初めて言った気が……？」
「ううん、一口食べるごとに言ってるよ」
「え」

美味しいあまり口元が緩んでしまっていたのだろうか。
そこまで言われると照れるーなんて頰に手を当てる管理人さん。ある意味おいしい。
……ちなみにここまでの会話を含めて、日常茶飯事である。