病熱 / *tntn ページ40
――意識が混濁している。
それは何かがずっとぐるぐる回っているような、はたまた物凄く周波数の低い音叉が耳元で鳴り続けているような、兎に角形容し難い感覚だった。
( ……やばい、 )
せめて柔らかいところで、とも思うが、だるさを訴える体はまるでフローリングに縛り付けられたかのように動かない。
あ、俺死ぬのかも――瞼にかかる熱い重みに耐え切れずそんなことを考えた。
薄れゆく意識の端で、「とんち!!」と叫ぶ都合のいい幻聴が、聞こえた気がした。
――
―
……目が覚めたのは、柔らかいふとんの上。
なんだ天国か? ――いや、この見慣れた景色、どうやら自分の寝室のようだ。
だとしたら、「あ、起きた?」と入ってくる彼女のエプロン姿も、現実なのだろうか。
「……エプロン、似合うな」
「ふふ、起き抜けに口説き文句とは、病人なのに大胆」
せやな。この絶好調っぷりは、現実やな。
「口説いてるんとちゃうわ」と突っ込むも、まあ正直、物珍しい姿にグッと来た部分もある。
彼女はそれを軽やかに笑って流しながら、ちょっと待っててねと寝室を出て行く。
――言われなくたってわかった。自分は体調を崩したのだ。
仕事だって例の活動だって業務は溜まりに溜まっているこの状況で、それが如何に不甲斐ないことかも、言われなくたって。
だけど、幻聴と思っていたあの声が本物だったとわかって、安心している自分もいた。
「とんち、お粥食べるでしょ? というか、少しでも食べて。」
「……そんな高度なもの作れたん」
「おっとぉ、煽ってるのかな?
……でも、確かに、普段はとんちにお世話される方が好きだから。」
甲斐甲斐しく起きるのにも手を貸してくれて、差し出されたそれは湯気の立つ芋粥。
はよ使おうと思ってたサツマイモ、消費してくれたんか。
普段あれでエプロン似合う家庭的な一面もあるとは、本真に一刻も早くプロポーズせなあかんな。
そう思いながらも、「あーんする?」という悪戯な提案は却下させて頂いた。
「…………うまいわ」
「ほんと? よかった」
「ちゃんと食べて、早く治してね」――言いながら頬を撫でる指が、冷たくて気持ちいい。
きっとLINEには、例の総統や会社の人から鬼のようにメッセージが押し寄せているだろう。
だけど、今だけは。
熱に浮かされた哀れな病人に、彼女に甘えるくらいの慈悲をくれ。
*
衝動書きなのでr様へのリクはまた別箇で……
ツイートを見て書けという天命が下ったから仕方ないね
嫉妬、なんてしてくれませんよね / *ut 【req:庵様】→←マイハニズムの猛攻 / *gr
445人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱2
【 wrwrd! 】* リ ア 充 爆 発 し ろ !! * 【 gallery 】
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メリージュ - 兄さんください。(._.)幸せなのだったら嬉しいです…。もしかしたら何度もリクエストしに来るかもしれません… (2017年12月3日 21時) (レス) id: 1959cdd2de (このIDを非表示/違反報告)
さかにゃ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。どうしようもなくキュンキュンした気持ちを伝えたくコメントさせていただきました。私は特にほのぼのマンちゃんがお気に入りで何回も読んではキュンキュンしています!これからも楽しみにしています。 (2017年5月31日 20時) (レス) id: 6b07f0c14d (このIDを非表示/違反報告)
美音(プロフ) - うるつさん» コメント、ご感想、応援ありがとうございます! リクエスト承りました。続編で書かせて頂くので、今暫くお待ちくださいね! (2017年3月20日 23時) (レス) id: 8effde5d90 (このIDを非表示/違反報告)
うるつ - 本当にいつもみさせてもらっていて、鬱先生のを見るたびすごくキュンとしてたのしくみさせてもらってます!これからも頑張ってください! (2017年3月20日 13時) (レス) id: 8969005215 (このIDを非表示/違反報告)
うるつ - 鬱先生リクエストいいですか?できればかっこいい鬱先生とかがみたいです・・・ (2017年3月20日 13時) (レス) id: 8969005215 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ