Felice San Valentino!! / *osmn ページ11
ガラスの壁の向こうのゲートから、多くの荷物を持った人達がどわっとこちら方向へ出てくるのを見て、そろそろかなと身構える。
うん。スカートも皺になってないし、新しく買ったカーディガンも彼好みの色。
久々に会う彼をガッカリさせる見た目ではないはず……
( あっ、メイク確認してない )
しかし、ハンドバッグを漁っても手鏡が見つからない。……うわ、最悪。
あ、でも、お手洗いが近かったはずだ。
一瞬、一瞬見るだけ、とそちらの方へくるりと振り向いた、その時だった。
「こら。1ヶ月ぶりの恋人に背向けるって、どういうことやねん」
背後から体を抱き竦められる。
その声も、耳当たりのいい関西弁も、背丈も。
「〜〜ッ、マンちゃん!!」
緩んだ腕から抜け出して向き直り、今度は私から、正面きって抱きつく。
間違いなく、1ヶ月前からイタリア出張でこちらを留守にしていた彼――オスマンだった。
「ただいま。寂しかった?」
その悪戯な問に素直にこくこくと頷くと、彼は嬉しそうに笑って。
「そか。俺も寂しかったからな、ちょっと予定より早く帰ってきてもうたわ」
「え?」
「ん?」
「え、いや、嬉しいけど……大丈夫なの? それ」
「ほら、俺仕事できるから」
飄々と言って退ける彼に、今度はちょっと訝しげな視線を投げてみる。
彼はそれにも嬉しそうに笑った。私も楽しい。
「おかげで間に合ったわ。はい、これ。」
チョコレート色のリボンを施されたピンクの箱。
不意に差し出されたこれの中身が察せず首を傾げる。
そんな私の様子に、彼は微笑んで。
「ハッピーバレンタイン、A。あ、お土産はもっと他にもあるけどな」
「……逆チョコ?」
「あんな、バレンタインっていうのは、元はバレンティヌス司教っていう3世紀頃のローマの」
「待って、その話長い?」
「……要するにあっちのバレンタインは、男も女も関係なく大切な人に贈り物する日なんや。
せやからこれは、そういうこと。」
頭が良すぎる彼が私にもわかるように言ってくれたその言葉に舞い上がり、もう一度その胸に抱きつく。ああ、私は世界一幸せな女だ。
「――あ、私からも」
「ああ、Aからのは家帰ってからゆっくり受け取るわ。楽しみやなぁ」
「は?」
唐突にぶっ放される下世話な感じが滲んだ言葉すら懐かしいから重症だ。
自分で自分に呆れつつ、固く手を繋いでターミナルを後にした。
**
＠様のリクはまた別に書きます。
皆様コメントありが(文字数)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【 wrwrd! 】* リ ア 充 爆 発 し ろ !! * 【 二人三脚企画 】 【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱２
【 wrwrd! 】* リ ア 充 爆 発 し ろ !! * 【 gallery 】
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メリージュ - 兄さんください。(._.)幸せなのだったら嬉しいです…。もしかしたら何度もリクエストしに来るかもしれません… (2017年12月3日 21時) (
レス) id: 1959cdd2de (このIDを非表示/違反報告)
さかにゃ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。どうしようもなくキュンキュンした気持ちを伝えたくコメントさせていただきました。私は特にほのぼのマンちゃんがお気に入りで何回も読んではキュンキュンしています！これからも楽しみにしています。 (2017年5月31日 20時) (レス) id: 6b07f0c14d (このIDを非表示/違反報告)
美音(プロフ) - うるつさん» コメント、ご感想、応援ありがとうございます！ リクエスト承りました。続編で書かせて頂くので、今暫くお待ちくださいね！ (2017年3月20日 23時) (レス) id: 8effde5d90 (このIDを非表示/違反報告)
うるつ - 本当にいつもみさせてもらっていて、鬱先生のを見るたびすごくキュンとしてたのしくみさせてもらってます!これからも頑張ってください! (2017年3月20日 13時) (レス) id: 8969005215 (このIDを非表示/違反報告)
うるつ - 鬱先生リクエストいいですか?できればかっこいい鬱先生とかがみたいです・・・ (2017年3月20日 13時) (レス) id: 8969005215 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
